原発事故避難生徒のいじめがきっかけ
実は、飯舘村教委では、16年12月2日に村の子供やその保護者に向けて同様なメッセージを中井田教育長名でホームページ上に公開していた。このときは、原発事故で福島県から横浜市に避難した中学1年の男子生徒がいじめを苦にして不登校になったことを受けたものだった。
一連のメッセージを出した理由について、村教委の教育課では、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明する。
「福島や横浜で被害に遭ったという子供たちが、飯舘村出身だったというわけではありません。村から県内を含めて全国に避難しているため、村の子供たちにも被害がありうることを危惧してメッセージにしたということです」
村出身の子供がいじめに遭ったという被害についても、これまで聞いていないという。
メッセージを出してからも、村の子供や保護者からいじめを訴える村教委への連絡も特にないとしている。ただ、メッセージとは別に、友人関係や不登校などの悩みの相談は、年に数件ほどは寄せられており、スクールカウンセラーらが対応に当たっているそうだ。
飯舘村では、村外への避難が17年3月末で一部を除いて解除されるのに合わせ、18年4月から村内の学校を再開させる方針だ。ただ、50億円以上かけて幼保一体型「こども園」や小中学校などを整備するというが、放射能汚染の影響を気にして村内の学校への希望者は少なく、再開延期の要望が出ているとも報じられている。
教育課でも、それを認め、「こども園」では5人ほど、小中学校では計50人ほどしか希望者がいないとした。「子供たちが村に戻って来ないのは深刻」だという。ただ、子どもたちに戻ってもらうために今回のメッセージを出したわけではないとしている。