米国のトランプ政権が発足して、まもなく3週間。それにもかかわらず、政権内には早くもほころびが生じている。
ドナルド・トランプ大統領の「右腕」とも「側近中の側近」といわれていたマイケル・フリン大統領補佐官が「辞任」に追い込まれたほか、なおも「火種」がくすぶっていると伝えられている。
「すべての政策が後ズレ」する懸念
トランプ政権で安全保障政策を担当、また日米のパイプ役でもあったマイケル・フリン大統領補佐官が2017年2月13日(米国時間)、辞任した。米メディアによると、スパイサー報道官が14日、記者会見で「フリン氏が、ペンス副大統領らに誤解を与えたことに大統領は強い懸念を抱いた」と述べ、そのうえでトランプ大統領自身がフリン氏に辞任を求め、更迭したと説明した。
理由は2016年12月、フリン氏が、当時のオバマ政権がロシアに対して発動した制裁をめぐり、ロシアの駐米大使と協議したうえ、そのことをペンス副大統領らに隠していたことだ。フリン氏は事実を認めているという。
スパイサー報道官はフリン氏がロシア側と協議していたことについて「検証した結果、法的には問題はなかった」と主張。また、「大統領が指示したことではなく、(大統領の)信頼を失った」ことを強調した。トランプ大統領は、ロシアに厳しい姿勢で臨んでいると釈明した。
この問題をめぐっては、トランプ大統領を選挙中から支えた「側近中の側近」といわれたフリン氏だけに、衝撃は小さくない。野党・民主党だけでなく与党・共和党からも、「フリン氏とロシアとの関係を調査すべき」などと批判の声が上がっており、追及の手はやみそうにない。
フリン氏の更迭の影響は、日本にも及びそうだ。
米国に詳しい、第一生命経済研究所・経済調査部の桂畑誠治主任エコノミストは、「フリン氏は日本とのパイプ役として役割を担っていく存在でしたが、突然それを失ったことになります。後任が誰であれ、一から関係を築いていく必要がありますから、たとえば両国間で話し合われている具体的な政策が、すべて後ズレする懸念があります」と指摘する。
「主要ポストの人選についてはクセのある人が多く、議会の承認を得られたとしてもギリギリの人が多い。それだけに不安定であることはわかっていましたが、それにしても、ということはあります」と話している。