自分の人生と健康にもっと集中できる
今回の結果は女性の健康医学の常識を破るショッキングなものだった。論文を掲載した「ジャーナル・オブ・ウーマンズ・ヘルス」誌編集長のスーザン・コルンスタイン医師は、論文要旨の中でこう語っている。
「婚姻状態と健康に関する、これまでの20余りの研究では、結婚生活は女性の健康の改善に役立ち、離婚は死亡リスクを高めるというものでした。ところが今回の研究は、それらのものとは真逆の結果で、非常に対照的です。おそらく従来の研究の多くが若年女性を対象にしており、クトブ博士とその研究仲間は、心血管疾患や糖尿病にかかりやすい閉経後の女性に焦点を当て、婚姻状態の影響を調べたためと思われます」
それでは、どうして高齢女性はひとり身になると元気になるのだろうか。クトブ博士は「メカニズムはまだわからないが」と言いながら、大学のプレスリリースの中でこう語っている。
「医療者として私は、新たに結婚する中高年女性に『お祝い』を述べるだけでなく、健康のためのアドバイスやツールを提供し、身体活動を続けるよう励まさなくてはならなくなりました。離婚すると健康になれる理由は、自分自身の健康にもっと集中できるようになるからだと思います。新しくシングルになった女性たちは健康な生活を意識的に心がけていました。食事が健康的に改善した割合は、4つのグループの中でこの女性たちが最も高かったのです」
「離婚のようなかなり致命的な人生の出来事でさえ、健康面で考えると肯定的な成果をもたらします。もし、私たち医療者が肯定的な立場を促すことができれば、女性たちが同様に対処することに役立つでしょう」
それまでの人生が、子どものため、老親のため、夫のためだった中高年女性。ひとりになって自分ための健康と人生を見つめ直しては、とクトブ博士は言っているようだ。