メタボリックシンドローム(メタボ)の人は肝臓が酸素不足になっており、これが原因で胆石が増えやすい状態になっている――。
東北大学大学院・医学系研究科の糖尿病代謝内科学分野、山田哲也准教授らのグループが、マウスを使った研究で明らかにした。
水分不足で胆汁が濃縮される
胆石は、胆のうや、胆のうと肝臓をつなぐ管の中で胆汁が固まってできる固形物のこと。発生した場所や主成分によっていくつかの種類があるが、日本消化器病学会によると、コレステロールが結晶化した「コレステロール胆石」がもっとも多いと推計されている。
脂質代謝に異常がある人や肥満の人に胆石が多い傾向にあり、メタボ患者でも発生しやすいことが知られていたが、その理由はわかっていなかった。
山田准教授らは、メタボの人に特徴的な脂肪肝(脂肪過多な肝臓)では、脂肪の影響で血流が低下し、肝臓の細胞が酸素不足に陥っていることに注目。マウスの肝臓を使って観察したところ、肝臓の細胞が酸欠になると、胆汁に水分を供給する働きを担うたんぱく質を減少させる「HIF-1α」という物質が活性化してしまい、胆汁が濃縮されて胆石形成が促進されていることがわかった。
HIF-1αが機能しないように遺伝子を操作したマウスでは胆石ができないことが確認されている他、胆石がある人の肝臓でHIF-1αが活性化していることも発見しているという。
研究結果は2017年1月25日、東北大学ウェブサイトで発表された。