人と関わるのが得意じゃないのも個性
埼玉県の福田晃己(こうき)くん(3歳5か月)はこの4月から幼稚園に通い始めるが、他の子と遊ぶのが苦手で、ママは友達ができるか心配している。
ある日、母親学級で知り合ったママ友に会いに公園へ行った。友達の子ども二人とは最近一緒に遊べるようになったが、幼稚園は離れ離れだ。
福田さん「とても友達ができそうな気がしない。この子達とは奇跡的に仲良くなった方」
他の二人が遊具で遊ぶ中、晃己くんは応援しているだけ。ママが「晃己もやれば?」、友達からも「一緒にしよう!」と言われるが、「やんないよ!」「晃己は見るだけ!」と頑なだ。
福田さん「友達と積極的に付き合っていける子になってほしい。幼稚園に入って一人だけポツンといるような子にはなってほしくない。そうなるんじゃないかという不安がある」
現在プレ幼稚園に通っているが、他の子がいるところには近付かず、遊んでいるのを立って見ているだけだという。
坂上氏「大人の感覚だと、関わって一緒に遊んでいないと参加していないと思うが、子どもは見ているだけでも『あんなことやってるんだ』『面白そうだな』など、心がいっぱい動いている。晃己くんなりの参加の仕方をしている。幼稚園では子ども同士がすぐに仲良くなることはあまりない。一人一人が園生活に慣れるという精一杯な状態から、幼稚園はお母さんお父さんのかわりに先生が、信頼できる大人がいるとわかり、安心して過ごせるようになる。友達を作るのはその次のステップ。大体の子どもは2学期が終わる頃には家でいろんな友達の名前を言うようになったり、『幼稚園でこんなことがあったよ』と話をするようになるので、親は『この子は大丈夫』と信じて子どもの持ち味を大事にしてあげて」
汐見氏「晃己くんは典型的な『観察学習派』だなと。すぐに輪に入らず、心の中で一緒に遊んでいるタイプの子っているんです。大きくなってからより、小さい時の方が個性ははっきりしている。人と関わるのが得意じゃない子が途中からガラッと変わることはないが、その子なりの成長の中で心が豊かになっていく。例えばとても社交的な子が小説家になることはない。生まれつきのものを変えようと思わない方がいいし、これはこれで楽しみだと思ってあげた方がいい」