「社会保障制度の見直しを連想させる」
しかし、高齢化に伴う国の財政負担は年々、増加の一途をたどっており、すでに一般歳出の半分以上を社会保障費が占めている状況だ。ある社会学者は「高齢者の定義引き上げは当然のことながら、社会保障制度の見直しを連想させる。そもそも政府が財政健全化に本気で取り組めば、制度の見直しは避けられず、今回の提言を機に本気で議論を始めた方がいいのではないか」とも話す。
ただ、厚生年金の支給開始年齢は段階的に65歳に引き上げられるなど、高齢者には厳しい環境になってきており、「これ以上厳しくなったら、どう暮らせばいいのか」との声も多い。生活に困窮する「下流老人」の増加も社会問題化している。
高齢者の定義見直しが社会保障改革とどう結びつくか、注視すべき状況となっている。