血液中のナトリウムが上がると、死に至る場合も
17年2月7日になって、NHKがニュースサイトに、「News Up 塩水飲んでダイエット?あふれる『フェイク』健康情報」という記事を掲載すると、ネット上でちょっとした騒ぎが起きた。「塩水洗浄」は内臓出血などで命に関わる危険もある、と論じたからだ。
この記事の中で、筑波大学の徳田安春客員教授は、内臓の負担が大きいだけでなく、塩分の取り過ぎで病気になってしまうし、腸内で消化を助ける菌も根こそぎ流す、と肝心のダイエット効果をきっぱり否定した。
J-CASTニュースは17年2月10日に都内の専門医に話を聞いた。医師は開口一番、
「そんなダイエットをしているなんて信じられない。血液中のナトリウム値が上がって精神障害が起こり、下手をしたら死にますよ」
と語った。医師によると、1リットルの水に10グラムの食塩を入れて飲むと下痢をする。これは「浸透圧性下剤」を使った時と同じ症状だ。血液よりも濃度の濃い液体を飲み、腸に留めることによって水分を体内から出して便を膨らませ、その刺激によって排出を促す。しかし、液体の成分が体内に吸収されることはない。ところが食塩を使った場合は殆どが吸収されてしまう。腎臓が食塩を体外に排出する能力は3日で18グラム。排出されない食塩は体内に蓄積され続け、様々な障害が内臓などに出る、という。
「こんなおかしなダイエットはすぐに辞めること」
と医師は説明した。
ネット上では17年2月10日夕現在も「塩水洗浄」と検索するとおびただしい数の説明文と体験記の見出しが出て来るが、その多くが削除され閲覧できなくなっている。「検証が必要」などと書いているサイトもある。NATROMさんは17年2月6日のツイッターで、16年9月20日付けのブログにアクセスが集中していると報告し、
「NHKグッジョブ!」
「事故でも起こらないと大手のマスコミは動かないかと思っていたけど、『WELQ騒動』がきっかけで少しは状況は良くなっているのかな」
などとつぶやいた。
医療サイト「WELQ」は16年12月に不正確な記事が見つかったことで閉鎖に追い込まれた。