国会審議で使用されるパネル情報の出典をめぐり、与野党が攻防を展開している。文部科学省の天下り問題をめぐる資金の流れを図で説明するパネルで、民進党の玉木雄一郎衆院議員が出典のひとつとして「日刊ゲンダイ」を入れようとしたところ、与党側が「タブロイド紙は不可」だとする過去の取り決め案を根拠に反発する一幕があった。
玉木議員の事務所によると、結果的には、パネルの図の出典から「日刊ゲンダイ」の文字を削除するだけで、図そのものはほとんど変更せずに済んだ。とはいえ、パネルはNHKの国会中継で映るとアピールの効果も高く、与党側も神経をとがらせているようだ。
与党時代の旧民主党が「週刊誌、タブロイド紙は不可」を提案
玉木議員が2017年2月6日の衆院予算委員会のために準備していたのは、
「天下りを脱法あっせんした文科省OBの収入減」
と題したパネル。文科省共済組合関連の資金が、文科省OBが顧問を務める都内の保険代理店に流れる様子などを示した図で、出典には当初、
「日刊ゲンダイ『文科省共済マネー 1人のOBに食い物にされている 内情に詳しい関係者が告発』(平成29年2月4日付)をもとに玉木雄一郎事務所作成」
と記された。これを事前に理事会に提出したところ、与党の理事から
「タブロイド紙の記事を元に質問するのはいかがなものか」
など反発したという。その根拠は、12年2月、当時与党だった旧民主党が提案した取り決め案。パネルに出典を示すことが盛り込まれ、その中で「週刊誌、タブロイド紙は不可」とされた。当時野党だった自民党などの反対で合意に至らなかったが、何故か与党側はこれを根拠に「待った」をかけた。
民進党側は、パネルの図には日刊ゲンダイの記事以外にも、実際に証言した関係者から直接、話を聞くなど、独自の調査で裏は取っていたことを主張。その結果、出典を
「文部科学省提出資料及び玉木雄一郎事務所調査をもとに玉木雄一郎事務所作成」
に差し替えることで折り合った。図そのものは、ほとんど変更されなかった。
玉木議員の事務所に9日、話を聞くと、
「与党側からパネルや資料について『物言い』がつくことが多く、中には重箱の隅をつつくようなものも少なくありません」
と話している。
「この際、細かいことは一度すっきりなくして」...
この「パネル問題」は、2月8日の衆院予算委員会でも取り上げられた。民進党の松木謙公議員が質疑の冒頭で、
「だいぶパネルの作成とかで、随分小競り合いがあるような話を聞いている」
として、
「でも、週刊誌が嘘ばっかり書いてあるわけじゃないし...まあ昔で言えば(週刊文春が故・三浦和義氏の「ロス疑惑」を報じた)『疑惑の銃弾』なんてね、ことから社会現象が起きた、まあそんなこともありましたよね」
「この際、細かいことは一度すっきりなくして、もっと自由な環境でやるようなことに、委員長が提案していただければいいのではないか」
などとして、自民党の浜田靖一委員長にルールの再考を求めたが、浜田委員長は
「理事会でも色々と議論があるところなので、引き続き議論して、どの場面で結論を出すか判断させていただきたい」
と引き取った。
国会での一連の動きについて、J-CASTニュースは9日夕、日刊ゲンダイの編集部にコメントを求めた。10日夕現在、回答は来ていない。