米の貿易赤字額、日本がドイツ抜き2位に
その対米貿易収支は2016年の年間で、前年比4.6%減の6兆8347億円の黒字と、2年ぶりに減ったとはいえ、日本にとって、米国は国別で最大の輸出先であり、黒字全体に占める割合も最も大きい。これを米国側から見ると、17年2月7日発表の米国の貿易統計(通関ベース)では、米国の対日赤字は前年から横ばいの689億ドル(7兆円余り)。前年から大きく減らしたドイツを抜いて、3年ぶりに、中国に次ぐ第2位に浮上した。
とりわけ日米通商問題の焦点になってきた自動車は、対米輸出の3割を占める最大の品目であり、日本の統計で2016年は前年比0.6%増の4兆4115億円、輸出台数は同7.7%増の175万台。米国景気の回復に伴い、販売が好調だったことが背景にある。一方、トランプ大統領が「彼らは日本市場で米国車を売れないようにしている」と批判する日本の米国からの自動車輸入は7.1%減の1万9933台、金額も1.2%減の901億円にすぎない。
そもそも、国内の生産力が弱く、輸出するものが乏しく、必要物資は輸入に頼らざるを得ずに赤字になる途上国と違い、米国のような先進国では、その貿易赤字は好調な経済の反映で、それに見合う投資等資金が海外から入れば、お金の収支が合わずに苦労する心配もない。
そんな経済の理屈にお構いなしに、「赤字=悪」を前面に出すトランプ大統領は、日本の「円安誘導」にも批判の矛先を向けており、2月10日の日米首脳会談で、どのような要求を安倍首相につきつけるか、予断を許さない。