18歳未満の少女に「極小水着」を着せた写真を撮影し、会員制サイトで公開していたとして、警視庁少年育成課は2017年2月6日、無職の肥塚誠次容疑者(57)を児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)で逮捕した。
今回の事件では、小さな面積の衣服で女性の胸や局部を隠した、「着エロ」と呼ばれる画像や動画が問題視された。一方で、週刊誌などで18歳未満の少女の水着写真が載ること自体は珍しくない。「線引き」はどこにあるのだろうか。
サイトには「ヌード写真はありません」
警視庁の発表によると、肥塚容疑者は「小泉優」という名前を用い、少女の写真を掲載する有料会員制サイトを運営していた。逮捕容疑は16年4月から11月にかけ、撮影当時18歳未満だった少女の「着エロ」画像をサイト上に公開した疑い。
警視庁広報課の担当者は2月9日のJ-CASTニュースの取材に、
「肥塚容疑者は被害者の少女が18歳未満だと知りつつ、極小の水着を着用させた状況で、胸や尻を強調した写真を撮影し、サイト上で公開していた」
と説明した。なお、産経新聞電子版(2月8日配信)などの報道によると、肥塚容疑者は写真を撮影した少女に対し、報酬として現金を支払っていたという。
肥塚容疑者が運営していたサイトの名前は「萌えっ娘ネット」。同サイト上の説明によると、サイト自体は2001年に開設され、その後18歳未満の少女を限定としたコーナーが07年に追加された。実際、サイト内には、
「アニメ、ゲームのコスプレ衣装やメイド服、体操着、水着などに身を包んだU18美少女の画像がいっぱい!」
とした文章が掲載されていた。
ただ、公開している画像の内容については「ヌード写真はありません」と説明。実際、記者が無料で閲覧できる画像を確認した限りでは、女性の胸や局部が「見えている」写真は無かった。
ネットでは「線引きが分からん」の声も
このように、少女の「着エロ」画像を公開したことが問題となった今回の事件をめぐり、ツイッターやネット掲示板には、
「水着でも児童ポルノになるんだな それだと芸能界もダメじゃないか?線引きが分からん」
「グラビアだって未成年に水着で写真撮ってるだろ」
「ん?水着が児ポになるなら世にあるDVDとか大分アウトになる気がするが」
といった疑問が相次いだ。
確かに、週刊誌などのグラビアやイメージビデオと呼ばれる映像作品には、18歳未満の少女が水着など肌の露出が多い姿を見せているものが数多く存在する。これらは、児童ポルノ禁止法の取り締まり対象にはならないのだろうか。
アディーレ法律事務所の日田諭(さとし)弁護士は2月9日、J-CASTニュースの取材に対し、写真や動画が児童ポルノに当てはまるかどうかの基準は「一応法律には学術研究、文化芸術活動、報道等に配慮を求める規定はありますが、かなり不明確」だと指摘。現行法の規定では、
「一部が裸になっている児童の画像について、誰かが見て興奮するのであればそれは児童ポルノですと規定しているのと同じであると考えて良い」
と説明する。
そのため、週刊誌などに掲載されている18歳未満のグラビア写真についても、「問題になる可能性はあります」と日田弁護士は指摘。続けて、児童ポルノ禁止法の規定が曖昧であることから、
「現状では特に問題になっていないようですが(略)問題になるかどうかは警察が目をつけ、捜査するかどうかにかかっていると言っても過言ではない」
との見方を示した。その上で、「今後は週刊誌や映像作品についても問題視されるケースが出てくる可能性があります」としていた。
今回のケースはなぜ「アウト」だったのか
なお、今回逮捕された肥塚容疑者のケースについて、インターネット上では「どこが問題なのか分からない」「厳しすぎるだろ」といった声も出ている。ただ、日田弁護士は「児童ポルノ禁止法に違反している可能性は高い」と見る。その理由については、
「なぜ面積が小さい水着や透ける衣装を着させるかといえば、それは率直に言って『エロい』からであり、そのような画像は性欲を興奮させ、または刺激するものと言えるからです」
と説明していた。