試合にまともに出れるかどうかの事態
今年の大谷には三つの目的があった。
①WBC優勝
②日本シリーズ連覇
③大リーグ行き
これが全く怪しくなってしまった。二刀流どころか試合にまともに出場できるかどうか、という思いもしなかった状態なのである。
「目標を失っている状況です」
WBC辞退の後の大谷の言葉だが、現実をとらえていることが分かる。当然、今後の調整に変化が出る。つまりプログラムの組み直しである。公式戦出場を開幕1ヶ月後にするのか、7月のオールスター戦をめどにするか、などである。
そして最大の関心は大リーグ行きである。昨年暮れの契約更改のとき、球団は大谷にそのオプションを与えた。
完治した状態と故障の懸念では大リーグ球団の値踏みが異なる。球団に入るトレードマネーの額にも影響するはずである。大谷イコール札束、といった構図で、調整は様々な要素を考えながら行われるだろう。
また大谷の侍ジャパン、WBCで経済効果を目論んだ関係者も、想像外の出来事に戸惑っている。大谷に代わる選手がいるかどうか。答えは明快である。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)