LINEは示せるか 成長への次の一手

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   「スタンプ」やコメントなどをやりとりするソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手、LINEの株価が軟調だ。

   2017年1月26日には16年7月に上場して以来の最安値をつけた。1月25日に発表された16年12月期決算(国際会計基準)が、広告事業の売り上げが5割伸びるなどして「増収・最終黒字転換」ではあったものの、市場の期待ほどの内容ではなく、失望売りを呼んだためだ。2月に入ってヤフー株が高騰するなどネット関連株の人気自体は衰えていないだけに、市場はLINEに成長への次の一手を求めていると言えそうだ。

  • LINEのホームページより
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黒字転換も株価は最安値

   決算内容をみると、売上高は前期比16.9%増の1407億円で、本業のもうけを示す営業利益は前期比約10倍の198億円と大きく伸びた。最終損益は75億円の赤字から75億円の黒字に転換した......と聞くと業績の改善を示しているようだが、市場の受け止め方は失望だった。

   決算発表翌日の1月26日の取引時間中、LINE株は上場来安値の3530円をつけた。LINE株は上場直後に5000円を超え、市場の期待を集めたが、2016年10月以降は下落基調が続いている。そうしたなかで、今回の決算内容が売りの決め手となった。

   1月26日にSMBC日興證券は、LINEの目標株価を5200円から4400円に引き下げた。営業利益の市場予想は242億円でSMBC日興は251億円。そこから見ると「(発表内容は予想を)大きく下回りネガティブな印象」としている。さらに同日、LINE側から2017年12月期も販売促進費用が増える可能性が示されたことも目標株価引き下げの要因となった。また、2016年12月期において、ゲーム事業は既存のものが堅調に推移しているものの、新たなヒットを生み出せないなど、「成長力の陰り」をうかがわせる現象も起きていることも市場の懸念材料だ。

タイ、台湾、インドネシアに集中展開する戦略に

   ただ、野村証券は「広告の立ち上がりは予想を下回ったが今後は期待がもてそう」とのコメントを出し、SMBC日興よりはやや楽観視する。ただ、野村にしても2016年12月期の営業利益予想は240億円で、実績とは大きな開きがある。野村は「四半期ごとにみれば復調の兆しがみえる」としている。

   一方、従来からLINEの課題は、事業展開が国内の個人ユーザーに偏っていること、と指摘されている。ただでさえ国内市場は少子高齢化が進んでおり、個人のLINE利用者は早晩、頭打ちになるだろう。そこで国内では企業が消費者にメッセージを送るシステムなど、企業向けビジネスを拡大している。これはこれで一定の成果を挙げてはいるが、現状の海外売上高比率は27%にとどまるだけに、やはり海外展開が重要となる。

   LINEはかつて、欧米進出を狙い、昨2016年の株式上場も日米同時だった。しかし、米フェイスブックなどの壁が高く、ほとんど参入できていないのが実情だ。そこで昨年、親日国のタイ、台湾、インドネシアの3か国・地域に集中展開する戦略に切り替えた。利用者は計1億人を超え、日本の1.5倍の規模に成長した。ただ、個人向けサービスにとどまり、広告や企業向けサービスが弱いのが現状。重点3か国・地域でビジネスを深化させることに成功すれば、株価も上昇基調に乗る可能性がある。

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