日本音楽著作権協会(JASRAC)が音楽教室から著作権料を取ると報じられたことを巡り、歌手の宇多田ヒカルさん(33)のツイートが波紋を広げている。
「もし学校の授業で私の曲を使いたいっていう先生や生徒がいたら、著作権料なんか気にしないで無料で使って欲しいな」
「著作権料なんか気にしないで」
宇多田さんは2017年2月4日、著作権料の報道を引用して、ツイッター上でこうつぶやいた。
引用されたのは朝日新聞デジタルの2日付記事で、それによると、JASRACは、ヤマハや河合楽器製作所などの音楽教室に対し、18年1月から受講料収入の2.5%程度を徴収する方針を固めた。教室の生徒も著作権法第22条の「公衆」に当たるとみて、著作権者の演奏権が及ぶと判断したというのが理由だ。個人運営の教室は除外するものの、これで年間10~20億円の徴収額になると推計しているという。
一方、宇多田さんのツイートに対し、弁理士で金沢工業大学客員教授の栗原潔さんは、5日のヤフーニュースへの寄稿で、「勘違いされているのではないか?」と疑問を呈した。小中学校など非営利の教育機関に対しては、著作権法が及ばないとされていることを指摘したのだ。
宇多田さんは、音楽教室のことを書き間違えたか、小中学校の授業などと区別がついていないではないか、としたうえで、この書き方だと、JASRACは、小中学校の授業からも著作権料を取ろうとしていると誤解されると書いた。
もっとも、栗原さんの指摘のほか、宇多田さんは、JASRACの徴収方針とは別に、小中学校の授業でも気にしてしまう人が出ると考えて呼びかけたとの解釈もあるかもしれない。
とはいえ、ニュースのコメント欄などでは、宇多田ヒカルさんの言う「学校の授業」をヤマハなどの音楽教室を含むと捉えた向きが多い。「音楽文化を潰す気か」とJASRACへの反発が強まっており、宇多田さんのツイートには、「すばらしい考えですね」「宇多田が代弁してくれた」などと賛同の声が書き込まれている。
宇多田さんは、2月6日夕現在で、前出のツイート以降は更新しておらず、J-CASTニュースが、宇多田さんの所属レコード会社「ユニバーサルミュージック」に取材すると、「本案件についての取材は受け付けておりません」との答えが返ってきた。