意外!ウエイトトレは心臓にいい 血管をやわらかにする効果の研究

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   糖尿病の患者は適度な運動が必要だが、ウエイトトレーニングのような負荷が高い筋トレは、弱りがちな心臓に負担をかけるというイメージが強かった。

   カナダのブリティッシュ・コロンビア大学のチームが、たった1セットのウエイトトレーニングでも糖尿病患者の心臓機能に改善効果をもたらす可能性があるという研究をまとめ、米生理学専門誌「American Journal of Physiology」(電子版)の2016年12月号に発表した。研究者は「糖尿病患者に限らず、ウエイトトレーニングはすべての人の心臓機能を高める効率的な運動だ」と推奨している。

  • ウエイトトレーニングがスゴイ
    ウエイトトレーニングがスゴイ
  • ウエイトトレーニングがスゴイ

血管のやわらかさを示す数値が36%向上した

   同誌の論文要約によると、糖尿病患者は健康な人に比べ、心臓発作など心血管疾患を発症するリスクが最大で4倍高い。このため、糖尿病患者にはウォーキングなど、あまり心臓に負担をかけない軽めの有酸素運動が推奨されている。

   研究チームは、糖尿病患者12人、健康だが運動習慣のない12人、ほぼ毎日運動をしている11人の計35人(49~61歳・平均年齢56歳)を対象に、2つのトレーニングの挑戦してもらった。1つはマシンやバーベルを使ったウエイトトレーニング。もう1つは有酸素運動のエアロバイク(自転車こぎ)である。2つのトレーニングを1セットずつ(20分間)行ない、その開始前と、終了の1時間後、2時間後に心臓血管機能を検査し、それぞれの運動効果を比較した。

   ウエイトトレーニングは次の3つを順番に行なった。

(1)レッグプレス:筋トレマシンの座席に座り、足裏に重量をかけて押し上げる。
(2)デッドリフト:床に置いたバーベルを両手で胸の高さまで持ち上げる。
(3)レッグエクステンション:筋トレマシンのベンチに座り、太ももとふくらはぎに重量をかけて持ちあがる。

   それぞれの運動の間に1分間の休憩がはさみ、運動の最中は、1分間最強度の力で頑張り、1分間力を抜くことを交互に繰り返すインターバルトレーニングを行なった。もう1つのエアロバイクは、全力の85%の力で7分間こいだ後、1分間脱力することを繰り返した。その結果は、次のことがわかった。

(1)トレーニングの前と後と比べると、糖尿病患者、運動習慣のない人、運動習慣のある人の3つのグループすべてで、心臓血管機能の改善がみられた。
(2)心臓血管機能の改善効果は、平均してウエイトトレーニングの方がエアロバイクより高かった。
(3)両トレーニングとも3つのグループの中で改善効果が一番高かったのが糖尿病患者だった。特に、動脈硬化の予防のためには血管のやわらかさ(血管内皮の伸縮性)が大切だが、それを示す数値が、糖尿病患者ではウエイトトレーニングはエアロバイクよりも36%も向上した。
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