超高齢化社会に役立つ技術を研究している早稲田大学アクティヴ・エイジング研究所は2017年2月1日、絆創膏(ばんそうこう)のように肌に直接貼るシート状の電子回路「皮膚貼付型エレクトロニクス」を開発したと発表した。
このシートをセンサーに応用すると、長時間にわたって身につけられるため、高齢者やスポーツ選手などの体調を把握するのに役立つという。研究成果は英国王立化学協会の学術誌「Journal of Material Chemistry C」(電子版)の2017年2月1日号に発表された。
シャツ型や腕時計型センサーに比べ違和感なし
早稲田大学の発表資料によると、研究所が開発したのは、厚さが数十~数百ナノメートル(編集部注:1ナノメートルは100万分の1ミリメートル)という極めて薄い伸縮性のある樹脂製のシート。さらに電気を通す性質があるインクを使い、シート上に電子回路を印刷することにも成功した。
このシートに大きさが数ミリほどの電子チップを装着すると、体温や血圧、脈拍、血中酸素濃度、筋肉電位などの健康情報をリアルタイムで測ることができる。シートは接着性が高く、いったん肌に貼り付けると、風呂に入ったり、運動したりしても簡単にはがれない。同研究所の岩田浩康教授らは、発表資料の中でこうコメントしている。
「近年、シャツ型や腕時計型の体に装着するセンサーが普及しています。しかし、違和感があることが課題でした。この『貼る型』は皮膚に貼りつけた時に違和感がないため、長時間身に着けて体調を管理することができます。健康医療や高齢者福祉、スポーツ分野での応用が期待できます」