設置されている公衆電話の撤去の流れを止めようと、日本外国特派員協会(FCCJ)が、「公衆電話ご利用キャンペーン」を、2017年2月1日から実施している。
年々減っていく公衆電話だが、災害時などに電話が混みあった場合でも通信の制限を受けない「優先電話」(災害時優先通信)にあたる、なくてはならない存在。じつは、「姿を変えて」増えているらしい。
「テレホンカード」貸します
日本外国特派員協会(FCCJ)は、会員制のクラブで、政治家や経済人、著名な評論家、音楽家や作家などが記者会見を開いたり、19階にはワークルーム(編集作業室)が設けられていたり、2011年3月には東日本大地震の取材で来日したジャーナリストらの取材拠点の役割を果たした。
そんなFCCJの「公衆電話ご利用キャンペーン」は、クラブ内20階の電話ボックスと19階のライブラリー入口に設置されている公衆電話の利用を促進するため、会員が公衆電話を利用する際に、クラブのテレホンカードを無料で貸し出す。毎月4000円分を先着順で使えるが、残高がなくなり次第終了する。
最近は、スマートフォンなどの携帯電話での会話のほか、デジタルによる文字・データや映像の情報伝達へとコミュニケーションの仕方が変わったため、公衆電話は余ほどのことがない限り「出番」はない。公衆電話の利用頻度が少ないため、クラブ内の公衆電話の撤去の申し出を、NTT東日本から受けているとされる。
クラブとしては、災害時などで携帯電話が不通になった場合に緊急用として利用できるように公衆電話を存続させることがキャンペーンの目的のようだ。
NTT東日本によると、「こうした(利用促進を目的とした)キャンペーンの話は聞いたことがありません」という。地域社会の安全・安心と公衆電話の使い方などの情報提供と啓蒙活動などに取り組む、日本公衆電話会も「聞いたことがないですね」と話す。
また、公衆電話の撤去についてNTT東日本は、「設置者(委託者)からのお申し出による場合もありますが、当社としては設置エリアや利用状況をみながら、見直しています」と説明する。
ちなみに公衆電話の設置は、緊急時の利用のため、「市街地の場合はおよそ500メートル圏内、その他の地域の場合はおよそ1キロメートル圏内に1台(第1種公衆電話=撤去できない公衆電話)を設置する」ことが決められている。