米国のドナルド・トランプ大統領が2017年1月27日に署名した、難民や中東・アフリカ7か国の人の米国への入国を禁止する大統領令を受けて、米国はもとより、世界各国で「反トランプ」の抗議デモが相次いでいる。
米国はじめ世界中の多くのメディアが「反トランプ」の抗議デモのようすを伝えているが、肝心の米国でのトランプ「支持」は衰えていない。
「より安全になる」31%
ロイター通信が2017年1月31日に発表した世論調査によると、トランプ大統領による難民の受け入れ停止や中東・アフリカ7か国からの入国を一時禁止した大統領令の是非を聞いたところ、「強く賛成」「どちらかというと賛成」と答えた人は49%で、「強く反対」「どちらかというと反対」と答えた人の41%を上回った。10%が「わからない」と答えた。
また、大統領令の効果については「より安全になる」と答えた人が31%で、26%が「より安全でなくなったと感じる」と答え、ここでも見方が分かれた。
ただし、テロ対策として「米国がよい手本になる」と答えた人は38%、「悪い手本」とした人は41%だった。
調査は1月30~31日、全米50州の約1200人を対象に、インターネットを通じて実施。ロイター通信は、「大統領令の内容は、大統領が選挙戦の時から約束していたものだが、米国民の支持は割れている」と伝えている。トランプ大統領は、2016年11月の大統領選での勝利後、米国内の「融和」を訴えたが、調査からは「分断」の深刻さが伝わってくる。
米国民の半数近くが「トランプ支持」であることに、連日「反トランプ」の抗議デモのようすが報じられている日本では、意外な印象があるが、米国事情に詳しい第一生命経済研究所・経済調査部の主任エコノミスト、桂畑誠治氏は「支持層が60%に広がったわけではありません。大統領選でトランプ氏を支持した人がそのまま支持しているといったところでしょう。大統領令はトランプ氏が選挙公約を実行に移したものです。支持者にしてみれば、『ちゃんと実行しているな』と受けとめているわけです」とみている。