生後6か月の赤ちゃんに「正義感」 いじめを退治するヒーローが好き

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   弱い者を助ける「正義」を好む気持ちが生後6か月の赤ちゃんに芽生えていることが京都大学の研究でわかった。研究成果は英科学誌「Nature Human Behaviour」(電子版)の2017年1月31日号に発表された。

   人間には生まれつき「正義感」が備わっている可能性を示す画期的な研究という。

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いじめを見過ごす「傍観者」より「正義の味方」を選ぶ

   論文によると、人間の「正義」の感覚は生まれつきなのか、教育によって学習されるものなのか、わかっていなかった。これまでの研究では、就学前の3~5歳の段階で、いじめられている人形をいじめている人形から守る行動をとることなどが知られているが、こうした傾向がいつごろから芽生えるのかはっきりしていない。

   研究チームは、(1)追い回していじめる攻撃者(2)いじめられて逃げ回る犠牲者(3)いじめを止めに入る正義の者(4)いじめに対し何もしない傍観者、の4種類のキャラクターを登場するアニメを作った。そして、生後6か月の20人の赤ちゃん(男女10人ずつ)に、攻撃者が犠牲者に体当たりをすると正義の者が助けるシーンと、傍観者が何もしないシーンを、それぞれ4回ずつ見せた。

   その後、正義の者と傍観者のキャラクターの実物を赤ちゃんの前に置き、どちらに手を伸ばすか観察した。その結果、20人のうち17人が正義の者を選び、3人が傍観者を選んだ。赤ちゃんが色の好みなどで選ぶ可能性も考慮し、別バージョンのアニメも見せて実験したが、同様の結果が得られた。

   研究チームの明和政子教授らは、論文の中で「正義の者が弱者に対する攻撃を止めた行動を赤ちゃんが好意的に受け止めた結果だと考えられます。生まれながら正義感の原型が人間に備わっている可能性があります」とコメントしている。

生後10か月で苦境の者への「同情心」芽生える

   京都大学は、2013年にも生後10か月の赤ちゃんに「思いやりの心が芽生えている」ことを明らかにした研究をまとめ、米科学誌「PLoS ONE」(電子版)の2013年6月13日号に発表している。

   京都大学の発表資料によると、この時は「攻撃者」と「犠牲者」が動き回りながら、「攻撃者」が「犠牲者」を小突き回したあげく最終的に押しつぶすアニメを生後10か月の赤ちゃん20人に見せた。その後、「攻撃者」と「犠牲者」の模型を赤ちゃんの目の前に置き、どちらに手を伸ばすか観察すると、20人のうち16人が「犠牲者」の模型を選んだ。赤ちゃんが「攻撃者」の模型を怖がった可能性も考えられるため、「第三者」の模型を入れたアニメを見せる実験も行なったが、やはり「犠牲者」の模型をつかむ赤ちゃんが多かった。

   研究チームの鹿子木康弘・特定助教らは、発表資料の中で、「まだ言葉も発達していない10か月の乳児が、苦境にある他者に対して原初的な同情的な態度をとることが確認できました。のちに発達する、より成熟した同情行動の基盤となっていると考えられます」

   生まれついて「正義の心」と「思いやり」を身に着けている赤ちゃん。いい面を伸ばして育てていきたい。

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