トランプが叫ぶ「国境税」の正体 「関税」以外の手法とは

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結果として米国の消費者が高いものを買わされることに

   それによると、輸出は還付などで事実上の免税とするので、その分、輸出品が値下がりし、米国製品の競争力が高まる。一方、輸入品には今まで以上の税金がかかるようにし、輸入企業の負担を重くする。現在は商品を輸入すれば、その分を仕入れコストとして差し引き、課税対象の所得を計算できるが、共和党案では輸入品の仕入れコストを差し引くことを認めずに課税対象に含めるため、事実上の増税になる――という。

   この「国境調整」は以前からのテーマだった。日本や欧州は、輸出品の原材料などの仕入れ時にかかった消費税(付加価値税)が還付されるが、全国レベルの消費税・付加価値税がない米国では還付がなく、米国企業は不公平だと主張していた。トランプ氏が主張する「国境で課税」と狙いは違うし、トランプ氏自身、共和党案に対して「複雑すぎる」と述べているという報道もあるが、結果として、狙いに即して使えるツールと見られており、この案を軸に検討が進むとの見方が強い。

   ただ、国境調整税でも、輸出企業の税負担軽減が事実上の「輸出補助金」に当たるとしてWTO違反に問われる可能性があり、日欧などは、米国が実際に導入すればWTOに提訴する見通しだ。

   関税、国境調整税のいずれにせよ、輸入の税負担増はコストアップとして、その分が米国内価格に上乗せされることになり、最終製品であれ、部品であれ、結果として米国の消費者が高いものを買わされることになる。

   通商関係者は「メキシコであれ中国であれ、あるいは日本の自動車メーカーであれ、華々しく『敵』を叩くパフォーマンスはいいが、議会共和党との調整を含め、トランプ氏の主張を実際の政策にどう落とし込んでいくか、不確定要素が多すぎる」と指摘している。

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