ホウレンソウ:中高年は食べなきゃ損 経験と共に蓄積される知力が磨かれる

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   「ポパイ、助けて~!」。恋人オリーブの悲鳴が聞こえるやいなや、ホウレンソウをガバッと食べ、筋肉モリモリに変身、巨漢の悪者ブルートを叩きのめすポパイ。年配の人には懐かしいアニメだ。

   ホウレンソウの健康効果は多く知られているが、最新研究で「結晶性知能」と呼ばれる高齢者特有の知的能力の維持に役立つことがわかった。腕力ではなく、知力で若い人に勝つパワーを秘めている野菜なのだ。

  • 中高年の脳にありがたいホウレンソウ
    中高年の脳にありがたいホウレンソウ
  • 中高年の脳にありがたいホウレンソウ

人間の知能には、年をとると伸びる「脳力」が

   研究をまとめたのは米イリノイ大学のチームだ。加齢医学専門誌「Frontiers in Aging Neuroscience」(電子版)の2016年12月6日号に発表した。

   論文によると、研究チームが注目したのは「ルテイン」というカロテノイド(天然色素)が高齢者の知能に与える影響だ。ルテインはホウレンソウやブロッコリー、カボチャ、トウモロコシなどの緑黄色野菜に含まれるが、特にホウレンソウにずば抜けて多く、ブロッコリーの約5倍だ。「目の健康」と「お肌のうるおい」によいことが知られており、国立健康・栄養研究所のウェブサイト「『健康食品』の安全性・有効性情報」の「ルテイン」の項目を見ると、こう書いてある(要約抜粋)。

「食事からルテインを多く摂取すると、手術が必要なほどの白内障、加齢黄斑変性(編集部注:高齢者に多い目の病気で失明原因の4位)の発生リスク低減に有効性が示唆されている」
「乾燥肌の女性が摂取した実験では、皮膚の水分量および脂質量の増加が見られ、皮膚の過酸化脂質(編集部注:いわゆる『肌のサビ』)量の低下が見られた」

   「いつまでも目がはっきり見え、肌をキレイにしたければホウレンソウを食べなさい」といわれる由縁だ。

   研究チームは、高齢者の「知能」の中でも「結晶性知能」の維持に注目した。近年の心理学では、人間の知能には「流動性知能」と「結晶性知能」があるといわれている。流動性知能は計算力や暗記力、集中力、IQ(知能指数)など受験テクニックに反映されるような知能のこと。25歳くらいがピークで、その後は徐々に落ちていき、40代以降になるとガクンと低下する。

   一方、結晶性知能は知識や知恵、判断力など経験と共に蓄積される知能のこと。こちらは年齢とともにどんどん伸び、60代頃にピークを迎える。しかも、単なる知識や経験の足し算ではなく、ある時点で飛躍的に伸びる。「あの情報とこの情報がつながる」とか「そういうことだったのか」と目からウロコの体験が増え、理解力が増す。様々なアイデアが生まれ、判断力に磨きがかかってくる。昔からいわれている「亀の甲より年の功」が結晶性知能なのだ。

知能テストの成績が向上、脳も大きくなる

   研究チームは、65~75歳の男女122人(平均年齢69歳)を対象に、血液検査と脳画像の検査、さらに結晶性知能テストを行ない、血液中に含まれるルテインの濃度と結晶性知能の関係を調べた。結晶性知能のテストは、言葉の理解能力を調べた。たとえば、「ランプとは何か?」と問いかけ、「ランプ」という言葉を定義させる。そして、その定義に合う物を他に探させる。また、「牛と熊に共通するものは何か?」と問いかけ、同じ関係にあるものを、動物はもちろん動物以外のものから探させるといったテストだ。

   その結果、血液中のルテインの濃度が高い人ほど結晶性知能テストの成績がよい傾向にあることがわかった。また、結晶性知能には脳の「海馬傍皮質(かいばぼうひしつ)」という部位が関連していることが知られているが、ルテインの濃度が高い人ほど海馬傍皮質の灰白質が分厚いことが確認された。

   研究チームのアロン・バービー博士は論文の中で「ルテインが脳の認知機能に関連していることは以前から知られていましたが、今回初めて、結晶性知能の維持に有効であることを確認できました。ルテインの血中濃度が高い人は長年にわたり、ルテインを食事で摂取してきた蓄積だと思われます」とコメントしている。

   いきなりルテインのサプリを飲んで効果はないようだ。特に中高年の人は、ホウレンソウなどの緑黄色野菜を毎日たっぷり食べる生活習慣をつけることが大切だ。

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