台湾の蔡英文総統が春節(旧正月)を前にツイッターに書き込んだ挨拶が波紋を広げている。普段は英語でしか書き込まれていないアカウントに、突然日本語でも書き込まれたからだ。
独立志向が強いとされる民進党の蔡英文政権が対日政策を重視する中、中国本土メディアは「どうして中国語を使わないのか」「売国奴」といった声がネット上で相次いでいるとして、批判的に報じている。一方で、台湾メディアは、こういった「ネットの声」は「中国のネットの声」であって、日本からは支持する声が多いと主張。中台間の空中戦の様相を呈している。
「売国奴」「どうして日本に媚びるのか」
蔡氏は旧暦での大晦日にあたる2017年1月27日、ツイッターで
「From the people of Taiwan, we wish everyone a bright and prosperous Year of the Rooster」(台湾の人々から、皆様方にとって明るく豊かな酉年になりますようにお祈りいたします)と英語であいさつしたのに続いて、日本語でも
「日本の皆様、今年は実のある素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈り致します」
と書いた。
蔡氏のツイッターアカウントは10年に開設され、中国語での発信を続けてきたが、14年5月を最後に更新が途絶えていた。相当就任後の17年1月15日に書き込みが再開され、日々の動静を英語で更新していた。そんな中で、日本語の書き込みが突然登場したわけだ。
中国や台湾のメディアによると、台湾総統府はツイートに日本語が含まれた理由を
「日本語のツイッター利用者は全体の3分の1を占めている」
と説明したが、それ以上の「意図」を感じる人もいたようだ。
中国共産党系の環球時報は1月28日にウェブサイトに掲載した記事で、
「ネット上で批判が相次いでいる」
として、
「どうして中国語を使わないのか」
「売国奴」
「日本人は旧正月を祝わないのに日本語を使った。どうして日本に媚びるのか」
といった声を紹介。ネット上の声を台湾批判の材料として利用した形だ。