サービス内容が複雑化
だが、サービス多様化→利用者増→事業者の収益向上→給与増......といったバラ色の好循環に本当になるのか。
そもそも、「混合」となればサービス内容が複雑化し、高齢者が保険対象のサービスか保険外かを判断するのは簡単ではない。その結果、よく理解しないまま契約を結ばされるのでは、といった懸念の声が介護現場には多い。保険外サービスを頼めない低所得者層の介護レベルが悪化する心配も指摘される。
産業としての活性化にも疑問がある。厚労省によると、全額自己負担で保険外サービスを利用している人の割合は全体の1.3%に過ぎず、規制を緩和してもどの程度増えるか。専門家は「結局、混合介護を始める事業者が増えても、利用できるのはお金に余裕のある人だけで、介護市場をどこまで拡大させるかは未知数。逆に、保険外サービスの料金が値崩れし、業界が疲弊する恐れもある」と指摘する。
高齢者が最期まで尊厳を保ちながら生活できるようにするという介護保険の原点に立って、慎重に議論を進める必要がありそうだ。