賃上げなどを通じた介護人材の確保が急務
先頭を切るのは小池知事の衆院議員時代の地元、豊島区。2017年度の区の予算に、有識者会議を設けるなどサービス提供の仕組み作りに取り組む費用約600万円を計上する予定で、早ければ17年度中にも全国初の導入を目指すという。
混合介護「解禁」により、利用者にとってはサービスの選択肢が広がり、事業者は工夫して多様なサービスを提供し、料金も柔軟に設定できるようになるなど、収益を上げやすくなる。「介護産業」として成長することは、介護職員の賃金増にもつながる――という「三方一両得」のウィンウィンの好循環が見込めるというわけだ。
確かに、介護の今後の需要増加が見込まれる中で、財政状況は厳しく、担い手も足りないという深刻な現実がある。介護給付費は2015年度の約10兆円から25年度に約20兆円に増える見通しだ。一方で財政は厳しく、介護人材の処遇改善のために公定価格である介護報酬を大きく引き上げるのは難しく、厚労省の調べでは、15年度の介護職員の平均月給は約29万円で全産業平均より低水準だ。都内の「要介護認定者」は25年に今より20万人増えて77万人に達する見込みの一方、介護の人材は約38万人不足するとの推計もある。賃上げなどを通じた介護人材の確保が急務となっているという事情があるのだ。