稀勢の里フィーバーはモンゴル支配時代の反動ブーム!

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昇進口上のシンプルさは高校野球にも波及か

   稀勢の里は初優勝の後、生い立ちからの人生がメディアに取り上げられ、たちまち全国に知られるようになった。19年ぶりの日本出身横綱誕生とともにフィーバー状態だった。

   多くの相撲ファンが素朴な人柄と思ったのは昇進のときの口上だった。

「横綱の名に恥じぬよう精進いたします」

   シンプルである、と好評だった。子供でも分かる、との声が上がった。確かに、これまで四文字熟語が多く、ファンは辞書で意味を調べるほどだった。そのきっかけは1996年の貴乃花。「不撓不屈」(ふとうふくつ)「不惜身命」(ふしゃくしんみょう)を使った。

   以後、若乃花「堅忍不抜」(けんにんふばつ)白鵬「精神一到」、日馬富士「全身全霊」、鶴竜は「一生懸命」。

   高校野球の甲子園大会で開会式に行う選手宣誓は今、長い言葉を使う。かつてはこうだった。

「われわれ選手一同は正々堂々と戦うことを誓います」

   稀勢の里の口上が高校野球に波及するかもしれない。半端ではない騒ぎはあちこちにシンプルさを呼び戻すような気がする。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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