岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち NYの共和党支持者が抱く孤独と不安

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   トランプ大統領就任式の日(2017年1月20日)、私の友人ベッツィ・ランカスター(65)の職場(マンハッタンにあるアジア関係の非営利団体)では、特別に大きなスクリーンでテレビ中継を見ることができるように配慮されていた。ベッツィはトランプ支持者なのに、その朝、浮かない顔だった。

「就任式は見ないで、仕事をしているわ。99%の人たちが新しい大統領の誕生を祝う気になれないのに、孤独を味わうのは嫌だもの」
  • ニューヨーカーとしては数少ない、トランプ支持者のロブ&ベッツィ・ランカスター
夫妻(自宅で撮影)
    ニューヨーカーとしては数少ない、トランプ支持者のロブ&ベッツィ・ランカスター 夫妻(自宅で撮影)
  • ニューヨーカーとしては数少ない、トランプ支持者のロブ&ベッツィ・ランカスター
夫妻(自宅で撮影)

FOXニュースとCNNを交互に

   99%というのは極端だが、ニューヨーカーは民主党支持者が圧倒的に多く、今回、79%がヒラリーに、4年前は81%がオバマに投票した。

   私はあえて、トランプを支持するベッツィの夫ロブ(66)と一緒に、就任式と一連のテレビ番組を見ることにした。ロブが好む保守派のFOXニュースを中心に見ていたが、時々、リベラル派のCNNにチャンネルを変えた。トランプがフェイク(嘘)ニュースと罵った、あのテレビ局だ。

   連邦議会議事堂前の映像が現れ、「やっと自分たちの声に耳を傾けてもらえると、変化を求めて投票した人たちが、この歴史的瞬間に立ち合うために全米から集まってきます」とFOXニュースのキャスターの声が流れる。

   大統領選の山場と言われるスーパー・チューズデーの日(2016年3月1日)も、ロブとベッツィと一緒にテレビを見たが、品がなく挑発的な言動を繰り返すトランプに呆れ返っていた。「メキシコとの国境に壁を作り、費用はメキシコに持たせる」という発言にも、反発を感じた。彼らの息子はメキシコ移民の女性と結婚したばかりで、国境からわずか5、6キロの距離に住んでいる。

   ヒラリーを毛嫌いしているロブは、共和党候補に選ばれたトランプを支持せざるを得なかったが、トランプの発言を聞いているうちに、「きれいごとを言うだけで実行しない政治家と違い、彼にはリーダーシップがあり、現状を変える力があるかもしれないと、希望を抱くようになった」と言う。

   就任式前に、礼拝のために教会に入る様子が画面に映り、「トランプ次期大統領のために子供を聖歌隊で歌わせたくない、という親もいましたが、伝統だから、と教会側が説得しました」といった説明も流れる。

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