健康だから長生きなのか、不幸だから短命なのか
ところで、「幸福感」と「長生き」の関係を調べる研究では、いつも「深刻な病気を持っている人は不幸で、死亡リスクが高い。幸福だから長生きなのではなく、長生きできるほど健康だから幸福なのだ」というパラドックスの問題がある。そこで、ステブトー教授らは、最後に「人生の楽しみ」の調査を行なった2006年から2年間に死亡した人を統計から排除して計算をし直した。重病だった人の要素を評価の対象から外したのだ。それでも結果は同じだった。
ステブトー教授ら論文の最後にこうコメントしている。
「今回の結果は観察研究であり、なぜ人生を楽しむと長生きにつながるかの因果関係を説明することはできません。人生の楽しみには、快楽的な楽しみと人生の満足感、人生の意味を理解することの3つがあります。大切なことは人生の楽しみを持続的に維持すると長期間健康でいられるということです」