韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が2017年1月25日のネット番組のインタビューに応じ、友人の崔順実(チェ・スンシル)被告が国政に不正に関与していたとされる、いわゆる「スンシルゲート」疑惑について、「うそが山のようにある」と述べた。
朴大統領がメディアのインタビューに応じるのは、弾劾訴追案が16年12月9日に国会で可決されてから初めて。
多くのうそが「いかに私の弾劾の根拠が弱いかを示している」
朴大統領が出演したのは、韓国経済新聞の鄭奎載(チョン・ギュジェ)主筆が運営するネット番組。約1時間にわたるインタビューの中で、朴大統領は「スンシルゲート」疑惑報道について、
「突き詰めていくと、率直に言えば、以前から準備されたものだと考えざるを得ない」
と主張したが、詳細については説明しなかった。
朴大統領は、
「うそが山のようにある」
「一連のナンセンスな出来事は、いかに多くの誤解、作り話、うそが作り上げられたかを示している」
「こういった巨大なうそが、いかに私の弾劾の根拠が弱いかを示している」
「今回のスキャンダルは狂牛病をめぐるパニック(編注:デマをもとに米国産牛肉輸入再開に反対するデモが拡大した)と似ている。両方とも、弱い根拠をもとに起こっている」
など次々に反論を展開した。
「スピーチ原稿の表現について助けを求めただけ」
崔氏との関係については
「スピーチ原稿の表現について助けを求めただけだ。だが、私は知らなかったのだが、崔氏が会社を立ち上げて、公共事業で私的な利益を得ようとしていたことを(後に)知った。いずれにしろ、こういったことを知らず、混乱を引き起こしたことは私の過ちで、そういう意味で公の場で謝罪した」
と述べ、崔氏の利益誘導疑惑とは自身は無関係だとの立場を強調。崔被告の調べを進めている特別検察官チームが、崔被告と朴大統領が
「経済共同体として利害を共有していた」
と主張していることについては
「その主張自体が、全くナンセンスなうそだ」
と強く反発した。
崔被告の政府高官への人事介入疑惑に関しては、崔被告から「推薦」があったことは認めたが、
「推薦が行われるのは公式、非公式なチャンネルがある。しかし、これ(推薦)が直ちに採用につながるわけではない。候補者は検証のプロセスを経るからだ」
と反論。政府に批判的なアーティストの「ブラックリスト」を作ったという疑惑は「何も知らない」と全面否定した。
野党は「自分が被害者であるかのように騒いでいる」
このインタビューには批判も出ている。朝鮮日報は社説で
「(朴大統領は)これまで確認・解明されたことまですべて『うそ』だと言った」
「朴大統領自身も支持者だけに向けた一方的な主張ではなく、一般国民のほとんどがうなずけるような合理的かつ率直な説明をしてほしい」
と朴大統領の説明不足を指摘し、聯合ニュースによると、最大野党「共に民主党」の尹官石(ユン・グァンソク)報道官は
「春節(旧正月)の休日を前に、大衆感情に影響を及ぼそうとしているようだ。あたかも自分が被害者であるかのように騒ぎ立てることで、裁判で同情を得ようとしている」
と朴大統領の発言を非難した。