インフルエンザはアプリで予防する 注意すべきは「絶対湿度」

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インフルエンザ予報計(Takahiro Izaki)

   例年1~2月に流行のピークを迎えるインフルエンザは、空気が乾燥すると感染しやすくなる。湿度はインフルエンザの予防を考える上で大事な指標だ。

   感染リスクを示す指標のひとつに「絶対湿度」があり、これが低いほど感染する可能性が高くなる。絶対湿度の予報を伝え、インフルエンザへの警戒を促すのがアプリ「インフルエンザ予報計」だ。

  • 折れ線グラフで示されているのが「絶対湿度」
    折れ線グラフで示されているのが「絶対湿度」
  • 折れ線グラフで示されているのが「絶対湿度」

11グラム以下で「流行開始」の目安に

   空気中の水蒸気含有量は気温によって異なり、低温になるほど少なくなる。よく目にする「湿度○○%」という数値は、その気温の空気が含み得る最大の水蒸気量(飽和水蒸気量)に対する、実際の水蒸気量の割合を示す「相対湿度」を指す。一方、「絶対湿度」とは、気温にかかわらず空気1立方メートル中に含まれている水蒸気量を指し、単位はグラムで表される。

   絶対湿度はインフルエンザの流行と相関関係があると、庄司内科小児科医院の庄司眞院長が30年分の気象データとインフルエンザ感染者数を調べた結果、明らかにしている。庄司氏が学術誌「地球環境 第8巻の2」(2003年)に寄せた論文によると、絶対湿度が11以下で「流行開始」、7グラム以下になると「流行拡大」の目安になるという。

   実際に活用している機関もあり、宮城県地域医療情報センターはウェブサイトで、絶対湿度に基づいたインフルエンザ流行予測情報を毎週配信している。また、タニタをはじめ複数の健康器具メーカーがインフルエンザ予防に役立てるため、絶対湿度を表示する温湿度計を販売している。

   アプリ「インフルエンザ予報計」は、絶対湿度の予報を3時間単位で24時間後まで折れ線グラフで表示し、インフルエンザ感染への警戒を促す。絶対湿度に応じ、リスクレベルは以下のように5段階に分けられている。

・安全...17グラムより多い
・ほぼ安全...11グラムより多く、17グラム以下
・注意...7グラムより多く、11グラム以下
・警戒...3グラムより多く、7グラム以下
・厳重警戒...3グラム以下

   予報を表示する地点は、全国の市区町村から5か所まで選択して設定でき、変更もいつでもできる。絶対湿度以外にも気温や相対湿度、天気、降水量、風向きと風速の予報、インフルエンザに関する短い「参考メモ」も、同時に画面上に表示される。

厚労省のパンフレットがアプリ内で見られる

   東京都千代田区を設定してみた。17年1月26日15時から27日3時までの絶対湿度は4~5グラムで推移し「警戒」レベルが続く。さらに27日6時になると「厳重警戒」の3グラムまで下がる。その後は上昇に転じ、9時に5グラム、12時には「注意」レベルの8グラムとの予報だった。

   同時間帯の仙台市を見ると、26日15時から27日15時までずっと4グラム以下で、2グラムまで低下する時間帯もあった。参考メモには「季節性インフルエンザは高齢者が重症化しやすい傾向があります」と表示されている。

   「対策すべき」と言われても、具体的に何をすればいいのか迷うかもしれない。その場合は、アプリ画面左下の「基礎知識」をタップすると、予防や治療に関する情報が見られる。これは厚生労働省が作成しウェブサイトで公開しているパンフレット「インフルエンザの基礎知識」を引用したもので、「外出時は医療現場で使われるサージカルマスクを着用すると、予防効果がより高くなる」「体調不良を感じたら単なる風邪と軽く考えず、早めに医療機関を受診しアドバイスを受ける」といった内容が記載されている。

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