目薬、湿布、絆創膏としても使われた「万能薬」
陀羅尼助丸の主原料はキハダの樹皮を乾燥させた「オウバク」という生薬だ。民間伝承の形で地域独自に伝わってきた伝統薬で、「万能薬」として使われていた時代もあったという。
「昔は、水に溶かして目薬にしたり、抗炎症作用があるので湿布や液体絆創膏にしたりもしていたそうです」(藤井社長)
陀羅尼助丸には、ちょっとした「驚き」もある。同社の製品の場合、1回で飲む量はなんと20錠で、他社では30錠という製品もあるというのだ。この理由を、藤井社長は「原料は伝統的な同じ生薬のみを使っており、化学薬品を使っていません。製法も昔から伝わる方法を続けており、最新の薬品のように、少ない粒に有効成分を凝縮することができないのです」と説明する。
地元で普及し、近畿地方でもある程度知られていながら、全国的な知名度がほとんどないのも「地域に根差した伝統薬」という点が関係していると藤井社長は話す。ただ、「全国に卸していますので、東京をはじめ他地域の一部の薬局でも扱っていると思います」という。また、藤井利三郎薬房をはじめ陀羅尼助丸の各メーカーがECサイトでも販売している。