アパホテルが「南京大虐殺」を「中国側のでっちあげ」などとする書籍を客室に置いていた問題で、一時、アパホテルのサイトが炎上して予約ができない状態だったが、今度は中国メディアが炎上状態に悲鳴をあげている。
中国国営の新華社通信がアパホテルを「現地取材」したとする記事をきっかけに、批判する電話やファクスが殺到し、通常業務が妨害されたとしている。
女性記者のホテル現地リポートきっかけ
新華社通信は2017年1月22日、「中国記者にいやがらせ」と題した記事を東京発で配信し、
「日本の右翼は絶えることなく嫌がらせの電話をかけ、さらに悪いことに記者の駐在先にはファクスが送りつけられ、記者を名指しして記者への非難・侮辱が行われ、記者は通常業務が妨害された」
などと訴えた。これらの行為は
「中国記者がホテルを現地調査し、報道した」
ことがきっかけだという。この「現地調査」記事は1月18日(北京時間)、
「日本の右翼ホテルが書籍撤去に抵抗 新華社記者が現地取材」
と題して動画つきで配信された。新宿にあるアパホテルの現地リポートだ。ホテルの様子を
「フロントには荷物が多く置かれ、23時過ぎまで宿泊客がひっきりなしにやって来ていた」
と描写し、その次に記者が持った感想は「部屋が狭い」。その後、室内に問題の書籍を発見し、書籍が日英の2か国語で書かれていることや、内容は「日本の右翼的視点がいっぱい」だという点を指摘。本の著者のアパグループ代表の元谷外志雄氏が
「中国に対抗するために日米同盟を利用し、早期改憲の実現を呼びかけている」
などと説明した。これに加えて、歴史問題を理由に「このホテルには泊まらない」と話すオーストラリア人や中国人観光客の声も報じ、
「APAホテルのやり方はひどく、基本的なビジネス倫理に大きく反している」
と批判した。動画では、女性記者が顔と名前を出してリポートした。
産経は「潜入取材」と報道
この記事を産経新聞が1月20日の朝刊紙面などで「新華社記者らが『潜入取材』」などと報じた。これをきっかけに、日本の一部のブログでは女性記者を名指しして
「アパホテル叩きの主犯」
「許すまじ!在日中国人はみんな反日工作員なの?」
「質問がある方は連絡してみたらどうかな」
などと主張する動きもあった。
1月22日の新華社通信の記事では、アパホテルが「言論の自由」を理由に書籍を撤去しないことを念頭に、
「日本の右翼の言うところの『言論の自由』は日本の侵略の歴史を称賛する自由に過ぎない」
などとして、「右翼」にとっての「言論の自由」のあり方を疑問視した。
新華社通信の東京支局に電話したが、電話にはだれも出ず、応答しない状態が続いている。