初開催のグルメイベント「グルメンピック 2017」(以下、「グルメンピック」)が、急きょ延期となった。150店舗を超える出店予定者と運営会社の話し合いは難航し、決着点を見いだせていない。
そんな中、開催予定施設が「味の素スタジアム」(東京都調布市)だったため、「出店者は『味の素』のネームバリューを信用したのではないか」との憶測がネットで飛び交っている。
売り上げが少なかったら「参加料返金します」
グルメンピックの開催場所は、「味の素スタジアム」(東京)と「舞洲スポーツアイランド」(大阪市此花区)の2か所。東京会場では17年2月13日から17日、20日から24日の2週にわたって、大阪会場では17日から24日まで実施される予定だった。
公式サイトによると、企画の趣旨は「2020東京オリンピックに向け、日本・全国各地のグルメを世界に発信していくことをスローガンとした最大級のグルメイベント」。出店者の中から「金・銀・銅メダル」を来場客の投票で決めるシステムだったらしい。
運営会社は、企業のプロモーションなどを手がける大東物産(東京都中野区)だ。同社は16年から、全国の飲食店に参加を呼びかけていたようだ。その「切り札」とも言えるのが、飲食店にとって有利な出店条件だった。
出店案内のチラシが届いたという「牛かつ 勝昌」(大阪市天王寺区)が、公式ブログで詳細を明かした。
それによると、参加料は通常40万円のところ20万円で出店可能、店舗スタッフや備品も運営サイドで用意する、週末3日間もしくは平日5日間の売り上げが75万円に満たなかった場合は参加料を返金する、という出店者にとっての好条件だ。
新年会の予約も落ち着き、売り上げが落ちる2月。飲食店にとっては願ったりかなったりのイベントだったのかもしれない。
しかし、大東物産は17年1月17日、公式サイトで「設備リース、会場施工、 会場運営等の請負会社の急なキャンセルや現状況で開催するには事故や災害を事前に防ぐことが困難となり、仮に発生をした際に極めて深刻な事態となる」として、突然、延期を発表。各種報道によると、現在、社長の居場所が分からない状態で、参加料の返金もないという。
味の素「協賛している、といった話は聞いていない」
開催目前で起こったトラブルが明らかになると、初開催のイベントにして、150店もの出店者を集めたことに驚く人が相次いだ。
ネット上では、出店者は「味の素」のネームバリューにつられたのでは、との憶測も飛び交っている。ツイッターでは
「(味の素は)関係ありそうに思われて、迷惑だろうな」
「味の素スタジアムで信用した」
「みんな信用したんだよね」
との指摘が相次いだ。1月25日放送の情報番組「とくダネ!」でも、出演者でコラムニストの深澤真紀さんが
「味の素とかグルメンピックというような名前が多かったので、(出店者が)完全に疑い切るのは難しい」
と語っている。
とはいえ、「味の素スタジアム」の所有者は東京都で、指定管理者は「東京スタジアム」。味の素はあくまで「東京スタジアム」のネーミングライツの購入者にすぎない。
イベントとの関係はあったのか。J-CASTニュースが味の素の広報部に問い合わせると、
「協賛している、といった話は聞いておりません」
との答えが返ってきた。なお、大東物産にも25日昼前から連絡を続けているが、17時まで電話は「話し中」のままつながらなかった。