自民党の高木毅・前復興相(61、衆院福井2区選出)をめぐる約30年前の「下着泥棒疑惑」が混乱を深めている。自民党福井県連会長は「県連の調査で、高木氏が現行犯逮捕されていたことが分かった」と述べたが、自民党本部は2017年1月23日、高木氏の逮捕は「事実ではない」として、福井県連による調査も無かったとする見解を示した。
だが、福井県連会長の山本拓衆院議員(64)は24日のJ-CASTニュースの取材に、「県連として調査を実施した。調査機関との契約書類も残っている」「調査の結果、現行犯されていた」と話しており、双方の意見は大きく食い違っている。
高木氏は一貫して疑惑を否定
そもそも、高木氏の「下着泥棒疑惑」が明るみに出たのは1年半以上前までさかのぼる。15年10月15日発売(首都圏など)の「週刊文春」「週刊新潮」の両誌が、約30年前に高木氏が地元の福井県敦賀市の民家に侵入して女性の下着を盗んだという疑惑を報じたのだ。
こうした報道に対し、高木氏は10月20日の会見で「そういった事実はない」と明確に否定。週刊新潮は、高木氏が警察の取り調べを受けたとも指摘していたが、この点についても「ありません」と否定していた。
その後、16年1月13日には福井の地元紙「日刊県民福井」が、高木氏の窃盗疑惑を「事実」とする当時の捜査関係者の証言を1面トップで報道。記事では、この捜査関係者の話として、
「高木氏は敦賀市内の女性宅のベランダで、下着を持っているところを通報で駆けつけた敦賀署員に取り押さえられた」
と報道。その上で、女性が被害届を出さなかったため、逮捕はされず立件もされなかったが、「当時敦賀市長だった父の高木孝一氏(故人)が現場周辺で『迷惑をかけた』と謝罪した」とも伝えている。
だが、この報道に対しても高木氏は1月15日の参院予算委員会で「報道されたような事実はない」として、一貫して疑惑を否定し続けていた。
そうした状況の中、事態が大きく動いたのは、県民福井の報道からちょうど1年後の17年1月13日のことだった。
産経新聞(電子版、13日)は、自民党福井県連会長の山本氏が、「県連で独自に調査した結果、『高木氏は、女性宅に侵入し現行犯逮捕されていた』と述べた。県庁で記者団に明らかにした」と報じた。山本氏は、高木氏と女性の間では示談が成立している、とも述べたという。
この「県連調査結果」報道をうけ、問題が再燃。民進党が18日の衆院議院運営委員会で、山本氏の発言について自民党として統一見解を出すように要求するなど、騒動が再び拡大していた。