食欲を抑えるホルモンが出なくなる
その結果、睡眠時間が短くなると、つぎのことがわかった。
(1)夜間のエネルギー消費量が増加するが、1日の全体のエネルギー消費量や脂肪の燃焼量に変化がなかった。起きている時間が増えても、睡眠不足によって昼間の活動量が減るため、体重が減るわけではないのだ。
(2)食欲を抑えるホルモンである「ペプチドYY」が減少し、1時間ごとにアンケート調査した空腹感を増加させた。ペプチドYYは、食べ物をよくかむと分泌されて満腹感が得られることで知られている。これが少ないと、無性に食べ物が欲しくなる。
(3)体の基礎温度である深部体温(直腸の温度)が低くなり、体内時計である「日内リズム」に影響を与えることも分かった。最近の研究では、日内リズムが乱れると腸内細菌のバランスが悪化し、肥満のリスクが高まることが明らかになっている。
今回の結果について、研究チームは発表資料の中で「私たちの研究は、睡眠時間が短くなると、なぜ肥満リスクを高めるのかという問いに対し、エネルギー代謝の面から生理学的なメカニズムの回答を提供することができました」とコメントしている。
疲れを回復させるだけでなく、ダイエットのためにも睡眠時間はきちんと確保しよう。