人手不足が深刻化する中、外食や小売業界で、24時間営業をやめたり、正月の休業を増やす検討をしたりする動きが広がっている。広告大手の電通が昨2016年末、違法な長時間労働を理由に書類送検され、長時間労働の是正が社会的課題となっており、営業時間を減らす動きに拍車がかかっているようだ。
外食チェーン大手のすかいらーくは17年1月半ばから順次、主力のファミリーレストラン「ガスト」と「ジョナサン」の深夜営業を大幅に縮小する。24時間を含め、深夜にも営業している店舗は現在約1000店あり、このうち約750店の営業時間を短縮。原則として深夜2時に閉店し、早朝7時に開店する体制に改める計画だ。
「ワンオペ」が大きな社会問題に
一方、百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングス(HD)は2018年から、主要店舗で正月の営業開始を4日からにして、三が日は休業にすることを検討している。同社は既に2016年から、首都圏の大半の店舗で初売りの開始を従来の1月2日から3日に繰り下げており、大西洋社長は「労働環境を改善しないと人材は集まらない」と述べている。
ロイヤルホストや日本マクドナルドでも24時間営業の見直しを段階的に進めており、外食や小売業界で営業時間を短縮する動きは加速している。その大きな要因は、少子高齢化の中で深刻化している人手不足だ。労働力の中心となる生産年齢人口(15~64歳)は、1995年の8716万人をピークに、2015年には7592万人と、20年で1割強も減少した。
こうした状況下、24時間営業をはじめとした長時間営業をまかなうには、従業員に過酷な労働を強いることにつながりかねない。ゼンショーホールディングス(HD)傘下の牛丼チェーン「すき家」では、人手の確保が追いつかず、深夜に1人で接客や調理を担当する「ワンオペ」が常態化し、2014年にその苛酷な実態が表面化し、大きな社会問題になった。