サガテレビ(佐賀市)がお天気コーナーに出演する70歳以上の「女性アナウンサー」の募集を始めた。応募規約では無報酬での出演だとしているが、すでに複数の応募が来ているという。
「いそうでいなかった!お天気おばあちゃん大募集」。サガテレビは2017年1月7日、情報番組「かちかちPress」のフェイスブックなどでこう告知を行った。
定期的に出てもらう番組参加者
その情報を見ると、お笑いタレントのおほしんたろうさん(31)が担当するお天気コーナーに週1回出演してもらうとし、「おばあちゃんは、何でも知っている」「知恵袋をお借りして、季節ごとの習慣や注意事項を教えてください!」とある。自薦他薦は問わず、応募資格は、佐賀県在住の70歳以上で「健康で明るく元気な方」としている。応募締め切りは、1月31日の予定だ。
ただ、番組出演等についての同意書となる応募規約を見ると、「番組のご出演および二次利用にあたり個人への報酬は一切発生致しません」とあった。さらに、「番組に提供されたプロフィールおよび撮影中のご発言内容については、すべて事実であることを保証してください。また、それに起因したトラブル等について、サガテレビは一切責任を負いませんのでご了解ください」とも書かれている。
ツイッター上では、サガテレビの募集は、労働契約に当たるのか、もしそうなら労働基準法に抵触するのではないか、といった疑問も指摘された。
サガテレビの編成制作部では16日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明した。
「今回の募集は、労働契約ではありませんので、労基法とは関係がないと考えています。放送局として採用するのではなく、定期的に出てもらう番組参加者という位置づけです。あくまでもタレントとして、お天気コーナーのアシスタントになってもらうということです」
「謝礼は支払い、交通費も出す」
サガテレビでは、応募規約には書いていないが、女性アナには、「報酬」ではなく「謝礼」を支払い、交通費などの必要な経費も出すとしている。
「女性アナ」の募集は1人とは限らず、5人ぐらいにローテーションで住まいに近いところで中継してもらうことなども検討しているという。
撮影中の発言については、「山の尾根に雲がかかってくると天気が崩れる」といった地域の言い伝えがある事実を踏まえてほしいということだとした。発言に基づくトラブルに責任を持たないとしたことについては、「あくまでも万が一のことが起きたときの話をしているだけです」と説明している。
今回の応募には、1月16日現在ですでに70歳以上の女性5人ほどから申し込みが来ているという。
労働問題に詳しい佐々木亮弁護士は、ある程度責任を伴う出演者をテレビ局が無報酬で募集することについて、労基法に抵触するかは「微妙なところだと思います」として、J-CASTニュースの取材に次のように話した。
「指示に従って役務を提供するという点から見れば、労働者性が生じてくるという気はします。女性アナ募集という表現も誤解を与えると思います。労働契約とみなされると違反になりますが、労働契約というほどは、募集内容が明確ではないですね。出演者が『都合で今日は出られません』ということが許されるとすると、労働者性という評価は低くなってしまいます」