まもなく始まる米国のドナルド・トランプ次期大統領の就任式で、国歌を歌うことが決まっている16歳の歌姫、ジャッキー・エヴァンコさんの人気が、ジワリと上がっている。
国歌斉唱をめぐっては、当初は英歌手のエルトン・ジョンさん(69)や映画「タイタニック」の主題歌で知られるセリーヌ・ディオンさん(48)らの名前が取り沙汰されたが出演拒否などがあり、誰が歌うのか注目されていた。
オバマ大統領やローマ教皇の前で歌声を披露したことも
2017年1月20日(米国時間)、米国の第45代大統領にドナルド・トランプ氏が就任する。その就任式で、国歌を歌うという「大役」を担うのが、ジャッキー・エヴァンコさんだ。
ジャッキー・エヴァンコさんは、2000年4月生まれの16歳。米ピッツバーグの出身で、映画「オペラ座の怪人」の曲を歌ってYouTubeに投稿しはじめたことが「すべての始まり」。10歳で出演した公開オーディション番組「America's Got Talent」で、プッチーニ作曲のオペラ「ジャンニ・スキッキ」から「私のお父さん」を熱唱して大ブレイク。美しいソプラノの声は、「100年に1人の逸材」「スーパーキッズ」といわれ、その後もクラシカルオーバーと呼ばれるクラシック音楽とポピュラー音楽が融合したジャンルの歌手として活躍している。
過去、オバマ大統領の前やローマ教皇には「星に願いを」を披露。また2011年にはアメリカンフットボール(NHL)の試合で国歌を歌った経験もあり、歌声は言うに及ばず、16歳とは思えない、なかなかの度胸の持ち主でもあるようだ。
アルバムセールスもすごい。2010年11月に発売されたデビューのミニ・アルバム「O Holy Night」は、年間ベストセラー1位を記録。売り上げ100万枚を突破して、米国ではプラチナ・ディスクに認定されたほか、11年6月には初のフル・アルバム「Dream With Me」をリリース。全米ビルボード・チャートで第2位、クラシックチャートでは第1位を記録し、ゴールド・ディスクを獲得した。
2012年10月発売の「SONGS~ 銀幕を彩る名曲たち」(日本盤ボーナストラック)には「荒城の月」を収録。14年7月には「アウェイクニング~めざめ」がビルボード・クラシックチャートで年間3位を獲得。アーティストのチャートでも5位に選ばれている。
日本でも「歌声」を披露していた・・・
米国では2016年 12月、ジャッキー・エヴァンコさんがトランプ次期大統領の就任式で国歌を歌うことが発表されて以降、同11月発売のニューアルバム「Someday at Christmas」が売り上げを伸ばしているようだ。
2017年1月4日にはトランプ氏が、このことを取り上げ、「ジャッキー・エヴァンコの就任演奏を発表した後、アルバム販売が急増した。一部の人々はその『ムーブメント』を理解していないだけです」と、つぶやいた。
トランプ氏の投稿は、まるで自身のおかげでジャッキーさんのアルバムが売れているかのようにみえるが、地元メディアによると、ジャッキーさんが過去に発売したアルバムの売り上げも伸びていると伝えている。
「ジャッキー人気」は日本でも、ジワリと上昇。ソニー・ミュージックレーベルズの洋楽担当者は、「アルバム『アウェイクニング~めざめ』が、iTunesのクラシックチャート圏外から13位まで上がってきています」と話す。
じつは、ジャッキーさんはこれまでも度々、日本を訪れている。2011年秋に初来日。ジャッキーさんを見い出した名プロデューサー、デイヴィッド・フォスターさんのライヴにゲスト出演してステージを沸かした。そのときの様子を、洋楽担当者は「ふつう」の女の子らしく、「原宿や渋谷109でショッピングを楽しみ、ガールズの服やアクセサリーなどを購入していました」と、振り返る。
また、2012年1月の再来日では「ミュージカル・ミーツシンフォニー」に出演したほか、東京フィルハーモニー交響楽団をバックに単独公演に挑むと、チケットは瞬く間にソールドアウト。8月の広島平和コンサートにはゲスト出演のため、2度来日している。
テレビにも出演しており、日本テレビ系の「行列のできる法律相談所」(2011年12月4日放送)や「スッキリ!!」(2012年1月11日放送)に出演し、その歌声を披露した。
就任式が近づくにつれて、ジャッキーさんが登場した2010年の「America's Got Talent」や、日本で放送された「行列のできる法律相談所」などの映像が再び注目されており、YouTubeなどの再生回数を伸ばしてもいる。
ジャッキーさんの魅力について、前出の洋楽担当者は、「『天使の歌声』と称される、ピュアで美しい歌声で、聴き手の心を優しい気持ちにするところかと思われます」と話す。ただ、残念なことに「今のところ、来日の予定はありません」という。