「オフサイドが無くなったら、サッカーはどうなるのか」――。国際サッカー連盟(FIFA)の技術部門責任者がドイツ紙に語った「オフサイド廃止案」に、世界中から激しいブーイングが飛んでいる。
「ゴミ同然の提案だ」。フランスのスタッド・レンヌFCを率いるクリスティアン・グルキュフ監督(61)は、今回のオフサイド廃止案をこう評したという。現場の指揮官がここまで酷評する改革案が仮に実現した場合、いったい何が起こるのだろうか。
オフサイド廃止を含む「10の新ルール案」
サッカー界を激震させたオフサイド廃止案は、元オランダ代表フォワード(FW)でFIFA技術部門トップのマルコ・ファンバステン氏が、ドイツのタブロイド紙「ビルト」のインタビューで語ったものだ。
2017年1月18日(現地時間)公開のビルト電子版記事では、ファンバステン氏が提唱したオフサイド廃止を含む「10の新ルール案」が紹介された。延長戦・PK戦の廃止など革新的な試案が出た中で、激しい議論を呼ぶことになったのが「オフサイド廃止案」だった。
ビルト記事によれば、インタビューの中でファンバステン氏は、
「オフサイドが無くなったら、サッカーはどうなるのか。非常に興味がある。反対する人は多いだろうが、今のサッカーはもう、9人や10人のディフェンダーがゴール前で守っていて、まるでハンドボールのようだ」
などと提案。「フィールドホッケーではすでにオフサイドが廃止されているし、問題ないだろう」とも話したという。
FIFA随一の改革派とも呼ばれるファンバステン氏の提案は、世界中のサッカー関係者・ファンの猛烈な反発を呼ぶことになった。ツイッターには、各国から「バカじゃないの?」「絶対に無くさないで」といった不満の声が相次いでいる。
さらに、フランスのスポーツ紙「レキップ」が現地19日に公開した電子版記事によれば、35年の指導者歴を誇るクリスティアン・グルキュフ氏も、今回の提案について、
「これまで読んだこともないゴミ同然の提案だ。計り知れないほど最悪だよ。村同士で対決し、選手が死に至るまでプレーしていた時代に逆戻りしてしまう」
とコメント。「オフサイドが無くなれば、チームプレーという概念が消え去ってしまう」とも言及したという。
また、複数の海外メディアの報道によれば、名門クラブ・アーセナルFCのアーセン・ベンゲル監督は、今回の改革案を評価しつつも、オフサイド廃止については「興味深いものではない」と一蹴したという。