東京都の小池百合子知事が2017年1月20日の定例会見で、石原慎太郎・元知事に対する「次の一手」を打ち出した。
築地市場の移転先の豊洲の土地購入をめぐって住民が起こした行政訴訟の対応を検証し、その結果によっては方針を見直す、というのだ。原告は、都が石原氏に対して土地購入代金を請求すべきだと主張してきたが、都側は石原氏に賠償責任はないとの立場だった。今回、小池知事が方針見直しの可能性を打ち出したことで、ヒアリングに応じていない石原氏に揺さぶりをかける思惑もあるとみられる。
豊洲の土地購入は「都知事の裁量権を逸脱した違法行為」と住民訴訟
訴訟は住民が都を相手取って12年に起こした。知事時代の石原氏が汚染された土地を東京ガスから578億円で購入した経緯を「豊洲の土地売買契約の代金が、都知事の裁量権を逸脱した違法行為」だとして、都が石原氏に対して578億円(もしくは東京ガスの負担額78億円を差し引いた463億円)を請求するように求める内容だ。
すでに21回にわたって公判が開かれ、都は
「石原氏に損害賠償責任は存在しない」
との方針で臨んできた。
しかし、小池氏は今回の会見で、訴訟対応特別チームを編成し、用地の選定、土地購入契約に関して事実関係を明らかにし、弁護団も変更する方針を示した。
「豊洲の問題をあらゆる形で明確にする手段」
小池氏は、
「現時点でどちらの方向にいくということではないが、訴訟について改めて検証することが必要ではないか」
として、まずは「検証」から始めたい考えを示した。さらに、
「その(検証の)上で、石原元知事に責任があるのかどうか、そしてあるとすれば、東京都に与えた損害の額がいったいどのくらいなのか、先ほどは驚くような額が住民訴訟では出ているが、その点を明確にしていく」
「不透明であった豊洲の問題をあらゆる形で明確にしていくひとつの手段」
とも述べ、検証結果次第では石原氏の賠償責任を都としても認める可能性にも含みを残した。