子どもが果物を食べると口がかゆくなり、ピリピリ・イガイガする感じがしたら要注意だ。子どもが果物嫌いになる原因の1つ「口腔アレルギー」の可能性がある。
ロート製薬が2017年1月18日に発表した「子どもの花粉症調査」で、花粉症の子どもの2割以上にこの「果物アレルギー」があることがわかった。
リンゴ・モモ・メロン・スイカにアレルギー成分
ロート製薬の発表資料によると、調査は2016年11月、0歳~16歳の子ども2935人の親を対象に行なわれた。「子どもが花粉症だと思う」と親が実感している子どもは31.5%で、症状が出る季節は「春」(85.8%)、「夏」(10.7%)、「秋」(39.0%)、「冬」(12.9%)だった。また、「通年性アレルギー性鼻炎」の子も24.2%おり、「花粉症」と「通年性アレルギー性鼻炎」の両方を持っている子が10.5%いた。10人に1人が一年中ひどい症状で苦しんでいることになる。また、「アトピー性皮膚炎」の子が9.9%、「ぜんそく」の子が8.0%いた。
花粉症の子どもは「口腔アレルギー症候群」になりやすいといわれる。口腔アレルギー症候群とは、特に果物や野菜を食べると、十数分以内に口やのど、唇の周辺にかゆみやピリピリ・イガイガする症状を感じる。ひどい場合は、口の周囲が腫れたり、せきやぜんそくを起こしたりする。これは、花粉症のアレルゲン(アレルギーの原因物質)と似た成分が果物や野菜に含まれているためで、子どもが果物や野菜を嫌いになる原因の1つといわれる。ただし、牛乳や卵などの「食物アレルギー」のように下痢やじんましんなどの重い症状が全身にあらわれることはない。
今回の調査では、口腔アレルギー症候群についても尋ねた。「果物を食べて口や唇、のどにかゆみやピリピリ感、イガイガ感を感じたことがある」と答えた子どもが全体の13.5%もいた。特に「花粉症」の子どもだけに尋ねると、20.6%が「かゆみやピリピリ感がある」と回答した。花粉症の子の2割以上が口腔アレルギー症候群を併発していることになる。
花粉症の子どもに、かゆみなどの症状が出た時に食べていた果物を尋ねると、「リンゴ・モモ・キウイ」が一番多く50.0%、次いで「メロン・スイカ」が38.9%、「その他の果物」が35.8%だった。リンゴ・モモ・キウイは、花粉症の元になるハンノキ、シラカバのアレルゲンと似た成分を含み、メロン・スイカはブタクサのアレルゲンを似た成分を含んでいる。
ジャムにして加熱すれば食べられる
花粉症の子どもが果物を嫌いにならないようにするにはどうしたらよいのだろうか。発表資料の中で、大阪府済生会中津病院小児科免疫・アレルギーセンターの末廣豊医師はこうアドバイスしている。
「花粉症の子どもで、果物を食べた時に口や唇にピリピリ感を感じたことがある子は注意が必要です。そのような症状を感じた時はすぐに食べるのをやめ、かかりつけ医に相談しましょう。多くの場合、ピリピリ感やかゆみはしばらくすると治まりますが、長く続く場合や息苦しくなるなど呼吸器症状が出た時は迅速に受診しましょう。果物のアレルゲンは、熱に弱くジャムなどにして加熱すれば食べられることがありますから、医師に相談してください」