「日本のトイレはボタンが多すぎる」 嘆く外国人を「統一デザイン」でヘルプ

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   温水洗浄機能がついた日本のトイレは、操作ボタンが多い。日本語が読めない外国人旅行者にとっては、「どのボタンがどんな機能なのか分かりづらい」と悩みの種だ。

   2016年の訪日外国人客数(推計値)は2403万9000人と過去最高を更新した。2020年には東京五輪が控えている。そこで、これまでボタンの図柄(ピクトグラム)は便器メーカー各社が独自にデザインしていたのを、今後は業界が協力して8種類を統一させていくという。

  • トイレの操作ボタンに今後統一して使われる「標準ピクトグラム」
    トイレの操作ボタンに今後統一して使われる「標準ピクトグラム」
  • トイレの操作ボタンに今後統一して使われる「標準ピクトグラム」

おしり洗浄、ビデ洗浄、便座開閉など8種類

   便器主要メーカー9社が加盟する業界団体・日本レストルーム工業会は2017年1月17日、温水洗浄便座の主要8機能のボタンデザイン「標準ピクトグラム」を策定し、メーカーの垣根を超えて加盟企業共通で用いると発表した。たとえば「おしり洗浄」はおしりの曲線と、水流を表すドットからなるデザインだ。「便器洗浄(小)」は2本の曲線、また「便器洗浄(大)」は3本の曲線でそれぞれ渦巻柄が描かれている。その他「便ふた開閉」「便座開閉」「ビデ洗浄」「乾燥」「止」がある。

   発表資料によると、これまではメーカーごとに独自にデザインしていたが、訪日外国人がホテルや観光施設で利用する際に「操作ボタンが分かりづらい」という指摘があがっていた。

   TOTO(本社・福岡県北九州市)が14年9~10月、日本在住の20歳以上の外国人600人を対象に実施した「トイレに関するアンケート」では、「訪日当初、日本のトイレで困ったこと」として、25.7%が「さまざまな操作ボタンの役割が分からなかった」、18.5%が「温水洗浄便座の操作方法が分からなかった」、さらに14.7%が「用を足した後の洗浄方法が分からなかった」と答えている。

   こうした問題の解決にあたり、「各メーカー個別で対応するのではなく、いくつもの種類があったボタンのデザインを統一する運びになりました」と、日本レストルーム工業会担当者はJ-CASTヘルスケアの取材に答えた。構想が持ち上がってから今回の発表に至るまでは「2年半かかった」という。

「直感的な分かりやすさ」重視

   標準ピクトグラム策定にあたっては、現在使用されているデザインからどれが分かりやすいかを日本人と外国人にアンケート調査し、支持されたものをベースに、日本レストルーム工業会が各メーカーのデザイン担当者と協議したという。たとえば、担当者によると「おしり洗浄」だけでも現行10種類のデザインがあり、水流のみのもの、おしりと水流を合わせたもの、ノズルだけを描いたものなど、まちまちだった。

   最終的なデザイン策定で重視されたのは「直感的な分かりやすさ」だ。パッと見ただけで機能をイメージしやすく、できるだけシンプルにして見やすさにも配慮した。あくまで絵柄の統一であり、文字での機能表記は統一していない。また、便座の温度調節や、おしり洗浄の水勢調節ボタンを搭載したタイプの便座もあるが、これらのボタンのデザインも取り決めていない。

   外国人利用者が分かりやすいようにと策定された今回の標準ピクトグラムだが、ツイッターを見ると日本人ユーザーからも「これは良い動き。もっと早くすべきだったと思う」「これすっげ大事!」と歓迎されている。また

「便器洗浄レバーを探して、あるべきところにないのでそのまま出て来ざるをえない外国人、公衆の場のトイレで結構、多し」

とのツイートも見つかる。前出の担当者にこうした声が出ていると伝えると、「流せないという困りごとが、今回の統一を機に解消できていけばうれしく思う」と話していた。

   標準ピクトグラムは、日本レストルーム工業会加盟9社が2017年度以降の新製品から順次採用していく。また同会では、ISO(国際標準化機構)による国際標準化を目指す。合わせて、日本のトイレの使用方法を英・中・韓の3か国語で説明するウェブサイトを制作し、公開している。

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