お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんの絵本『えんとつ町のプペル』(幻冬舎)がネットで無料公開された。
23万部を売り上げたベストセラーだけに衝撃は大きく、製作費をクラウドファンディングで集めたこともあり、その決断をめぐって賛否両論の意見が寄せられている。一体、何が目的なのか。
1冊2000円、2カ月で23万部売り上げる
『えんとつ町のプペル』は2017年1月19日、サイバーエージェントの運営するウェブメディア「Spotlight」(スポットライト)で無料公開された。同日更新された西野さんのブログによると、無料公開を決めたきっかけは小学生から
「2000円は高い。自分で買えない」
という意見が寄せられたことだった。
自分の作品を子どもに届けたいのに「お金」が理由でそれができない。そんなもどかしさから、
「昔の田舎の集落のように、物々交換や信用交換で回るモノがあってもおかしくない」
と考えた。
決断にあたって、印税収入がなくなり「食いっぱぐれてしまう」と一時心配したものの、
「『10万部売れるコト』よりも、『1億人が知っているコト』の方が遥かに価値がある」
「皆が豊かになった方が、巡り巡って自分も豊かになるだろう」
と思い直したという。そして、西野さんは、今回の無料公開を「お金の奴隷解放宣言」と独特な表現で呼んでいる。
『えんとつ町のプペル』は、ハロウィンにわく街を舞台に、偶然生まれたゴミの怪物と好奇心旺盛な少年が心を交わし合う、ハートウォーミングなストーリーだ。16年10月に発売されるや一躍人気を集め、12月末までに23万部を売り上げた。
ベストセラー作品の無料公開には大きな反響が寄せられ、ツイッターで
「とても好感が持てる」
「素晴らしいことだ」
「凄いなぁと思う」
と共感の声が広がった。
しかし一方で、西野さんほどの人気作家が作品を無料公開すると他のクリエイターの作品がダンピング(不当廉売)される、との指摘も少なくない。
加えて、西野さんが『えんとつ町のプペル』の制作費をクラウドファンディングで集めたことに触れ、「出資者に説明すべきだ」と批判するツイッターユーザーもみられた。
賛否両論分かれる今回の無料公開。J-CASTニュースは西野さんに改めて真意を聞こうとしたが、19日19時過ぎ、代理人を通じて「いまは忙しくて時間が取れそうにない」との返事が寄せられた。