酒類メーカーに求められた自主規制
「キリン 氷結」のウェブ限定のアニメCMについて、キリンは「(ASKなどから)要望書は受け取りましたが、ウェブCM中止の判断はそれ以前に『未成年者への配慮に欠ける』との声をお寄せいただいていたことから検討を開始。8月10日に中止を決定しました」と話し、要望書との「因果関係はありません」と明かす。
CMづくりについて、「未成年者への配慮は常に考えていますし、今後ともそのことにかわりはありません」と話す。
今回、「CM復活」を求める署名活動がはじまっていることは承知しているという。
一方、ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)によると、「キリン 氷結」のアニメCMの中止を求めた背景には、2010年5月に世界保健機関(WHO)が「酒類メーカーなどのマーケティングから若者を守る予防手段を検討すべき」との指摘を受けて、日本でも14年6月に「アルコール健康障害対策基本法」が施行され、酒類メーカーに自主規制が求められるようになった。
2016年5月には「アルコール健康障害対策推進基本計画」が閣議決定され、酒類メーカーは、テレビCMについて、
「25 歳未満の者を広告のモデルに使用しない」
「25 歳以上であっても、25 歳未満に見えるような表現は行わない」
「喉もとを通る『ゴクゴク』などの効果音は使用しない」
「お酒を飲むシーンに、喉もとを強調する描写はしない」
といった基準を設けたが、ウェブ広告については現在も検討が進められている。
ASKは「基準は、まず、テレビCMを先行するということで、『キリン 氷結』のWebCMはそのすぐあとの8月に露出されたものです」と、これまでの経緯を説明する。
ASK代表の今成知美さんは、「テレビCMであれば、業界の自主基準に明らかに反するので、そもそもつくられることはなかったと思います」と話し、「テレビCMにおける25歳という基準は、未成年者の世代モデルにすることを避けるという配慮があったはずです。(キリンは)ウェブCMだからという理由で、自主基準の対象から外したことがあります。また、イラストなどの仕事の合間に飲酒をしているシーンがあるなど、表現上の問題も見受けられます」と、問題点を指摘。「キリンさんとも話をしましたし、理解を得られたと思っています」と話す。
ウェブCMの表現方法に「注文」をつけたわけで、表現手法にアニメが「ダメ」というわけではないようだ。