ヤマトHDに迫る「異常事態」 「取扱量が過去最高」でも喜べない

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「不在再配達」と過剰サービス問題

   特に業界にとって悩ましいのが、問題となった佐川のインターネット動画で従業員がイライラを募らせる原因の一つとなったともみられている「不在再配達」だ。現状では業界として2割程度が不在再配達の対象となっている模様だが、基本的に追加料金は発生しておらず、業界の負担となっている。中には「顧客が日時を指定しておきながら不在で再配達」ということもある。日本らしい過剰サービスとも言えるが、年末などにはもはや維持不可能かもしれない。もちろん、「家にいるのが1人でトイレに入ってて出られなかった」なんてこともあるだろうが、それもこれも無料ゆえに顧客側に負担感がないから、気軽に再配達を要請するということで悪循環になっているわけだ。

   日本経済新聞は1月8日付朝刊で、ヤマトHDの2016年4~12月期連結決算は人材確保費用が膨らむため、営業利益は前年同期比で1割減の見通しだと報じた。報道の通りとなれば、宅配便の取扱量が過去最高を更新するなかで異常事態と言える。配達需要は今後も増加が見込まれるだけに、「再配達の有料化」などの対策を講じて無料再配達を減らすなどしなければ、業界全体が年末などの需要ピークに対応できなくなる可能性もありそうだ。その結果、困るのはいうまでもなく消費者。ここは「過剰サービス」問題の考えどころかもしれない。

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