「保護なめんな」などと英字でプリントされたジャンパーについて、生活保護の担当者が着用するには不適切だとして、神奈川県小田原市が職員の使用を禁止したことに対し、ネット上で、「何が悪いのか」と異論が相次いでいる。
黒いジャンパーの左胸には、金色のエンブレムが入っている。「悪」という漢字にバツ印が付き、「SHAT」という英字がある。
「不正受給は許さないと、連帯意識向上のため」
「HOGO NAMENNA」(保護なめんな)は、その上につづられていた。
小田原市が行った2017年1月17日の緊急会見などによると、このジャンパーは、10年前に生活保護担当の職員3人が支給を打ち切られた男からカッターナイフなどで切られる事件をきっかけに作られた。それでも不正受給は許さないと士気を高め、連帯意識向上のために職員から発案があったそうだ。
1着4400円で、これまでに職員計64人が自腹で購入した。外に向けたメッセージではなかったため、当初は、一人暮らしの高齢者が自宅で亡くなったときの片付け作業などにジャンパーを使っていた。しかし、次第にその意識が薄れて、冬の防寒着として受給者宅への訪問などにも着るようになった。
これに対し、受給者とみられる人からマスコミに情報提供があって、ジャンパーの使用が発覚した。
会見では、市側は、受給者への配慮を欠いた不適切な表現だったとして謝罪し、16日付で使用を禁止したことを明らかにした。一方で、ジャンパーを着用した経緯から職員は処分せず、福祉健康部の上司7人を厳重注意するに留めた。
ジャンパーにある「SHAT」の英字は、市の生活支援課が18日にJ-CASTニュースの取材に答えたところによると、「生活保護悪撲滅チーム」の頭文字を取ったという。英字自体には、「クソ!」などと罵倒する意味もあるが、その意味をかけたわけではなく、米国警察の特殊部隊「SWAT」にあやかったものらしいとしている。エンブレムは、英国の名門サッカークラブ「リヴァプール」のを模したともみられている。