ピコ太郎さんの「PPAP」が世界的な大ヒットを記録したウラには、本職のミュージシャンも認めるサウンド面の「こだわり」がある――。こうテレビ番組で熱弁したのは、人気DJで音楽プロデューサーの「tofubeats(トーフビーツ)」さんだ。
トーフビーツさんが着目したのは、PPAPの曲中で繰り返し使われている「ポーン」という音色。実は、この単純な「ポーン」という音には、プロのDJや音楽マニアを唸らせる「ある秘密」があるという。
ピコ太郎の「只者ではない」音作り
「ズン、ポーン、ズン、ポーン、ズン、ポーン...」。こんなPPAPの単純ながらも耳に残るサウンドが、いま音楽ファンから大きな注目を集めている。
そのきっかけとなったのは、2017年1月15日放送の音楽番組「関ジャム 完全燃SHOW」(テレビ朝日系)だ。番組に出演した人気DJのトーフビーツさんが、PPAPの「音作り」について、プロの目線から詳しく解説したのだ。
番組によれば、PPAPに使われている「ポーン」という音は、ローランドが1980年に発売したリズムマシン「TR-808」に収録されたもの。カウベルという打楽器の音を電子的に再現した特徴的なサウンドで、トーフビーツさんは、
「この音色とカウベルの音量を聞いて、DJ諸氏はピコ太郎が只者ではないと感じたはずです」
とコメントしていた。
実は、ピコ太郎さんが楽曲に用いたという「TR-808」というリズムマシンは、発売から30年以上が経った今もテクノやヒップホップなどのジャンルでよく使われる「往年の名機」。そのため、DJや音楽マニアはPPAPを聴いただけで、「ピコ太郎さんが本当のテクノファンだとすぐ分かる」という。
そうした上で、トーフビーツさんは、
「こうした奥行きがあるから、日本だけじゃなく世界でヒットしたんだと思う。実際、ミュージシャンも(PPAPには)全然文句言ってないでしょ」
などと結論付けていた。
古坂さん「本当にすごく頑張って作ったんです」
番組には、ピコ太郎さんの楽曲プロデューサーを務めるお笑い芸人の古坂大魔王さん(43)もVTR出演。トーフビーツさんの楽曲分析について「もうねえ、まさにそのまま!」と膝を打ち、
「僕はそこ(=カウベルの音)を、本当にすごく頑張って作ったんです。この話がしたかったんですよ。トーフビーツさん、気付いてくれてありがとうございました」
と満面の笑みで話していた。
古坂さんはさらに、PPAPの「ポーン」という音について、単純にカウベル音を使うだけでなく、裏に別のリズムマシンのスネア音を重ねることで「アタックを強く仕上げた」とも明かしていた。
世界的にブレークした「PPAP」について、その歌詞でもピコ太郎さんの風貌でもなく、純粋に楽曲としての分析を加えた『関ジャム』の内容は、音楽ファンから大きな注目を集めた。ツイッターには、
「やっぱりプロ目線って違うんだな」
「カウベルの音ひとつ取っても、こだわりぬいて作られてる。聴いてて楽しい曲にはいろいろ理由があるなあ」
「80年代のディスコからtechnoにハマった私がPPAPを聴いた時懐かしい感じがしたのはカウベルのせいだったのね」
「ピコ太郎氏のこだわりの半端なさを感じ取れた」
といった反応が相次いでいる。
カウベル製造メーカー「大変ありがたく、興味深い」
ピコ太郎さんが使ったTR-808を製造するローランドの広報担当者は1月16日のJ-CASTニュースの取材に、
「古坂さんがテクノ音楽に詳しいことは前から知っていました。PPAPにTR-808のカウベル音を使って頂いているという話も最近よく耳にしていて、大変ありがたく、興味深く感じています」
と話す。その上で、1980年発売のTR-808というリズムマシンについては、
「発売時期がクラブミュージックの黎明期と被ったため、ミュージシャンに注目を集めたのだと思います。音が太く存在感の強い独特なサウンドが特徴で、テクノやヒップホップのジャンルでは今もニーズが高いようです」
と説明していた。1983年に生産を終了したがその人気は根強く、今も中古市場では高値でやり取りされるほどだという。