「おしっこを途中で止める感覚」で締める体操
というわけで、中に挿入して使う「膣トレグッズ」の広告や、「性器手術」を勧めるクリニックの広告がインターネット上に氾濫しているが、あまり深刻に考えない方がよさそうだ。
ベストセラー『女医が教える 本当に気持ちのいいセックス』の著者で、女性の支持者が多い産婦人科医の宋美玄さんも、週刊誌「女性セブン」(2011年7月14日号)で、52歳主婦の「4人を出産後、膣がゆるい感じがして夫が不満ではと不安です。尿漏れも気になります」という悩み相談にこう答えている(要約抜粋)。
「膣がゆるいのではという心配ですが、赤ちゃんを生んだ直後でなければ、女性の膣はそれほどゆるいものではありません。旦那さんが何も言っていないなら、気に病まないでいいですよ」
「膣の締まりが気になる女性には、ケーゲル体操(編集部注:骨盤底筋体操)がおすすめ。もともとは尿漏れの治療や産後にゆるくなった膣を元に戻すために開発されたもので、骨盤底筋などの『オーガズム筋』を鍛えるので締まりもよくなります」
「方法はとても簡単。足を軽く開いて立ち、息を吸いながら膣をまっすぐ上に引き上げるようにして静止します。『おしっこを途中で止めるような感覚』をイメージしてください(でも、本当に用を足している時には膀胱(ぼうこう)炎になるのでせんといてね)。この状態で5秒カウントしてから、力を抜く。これを5回繰り返します。毎日行えば、膣の締め付け具合もある程度コントロールできるようになります」
ケーゲル体操のさらに詳しいやり方は多くの健康サイトで紹介されている。「快適な排尿をめざす全国ネットの会」のウェブサイトを見ると、宋美玄さんが紹介した基本形以外に、次の方法が載っていた。
(1)仰向けの姿勢で
まず仰向けに寝て、足を肩幅に開き、ひざを立てる。体の力を抜き、おなかの力を抜く。肛門と膣を締め、息を吸いながら肛門、膣を胃のほうに吸い上げるような感じで締める。締めたままゆっくり「1、2、3...」と5つ数え、力を抜く。これを5回行う。次に、肛門、膣を早いテンポで閉めたり緩めたりする。5回を1セットとして1日で5回の運動をする。仰向けはもっともリラックスしやすい姿勢で、朝晩、布団の中でも行なえる。
(2)机にもたれた姿勢で
机のそばに立ち、足を肩幅に開く。手も肩幅に広げ、机につける。その姿勢で体重を全部腕にのせる。背中はまっすぐ伸ばし、頭を上げて前を見る。肩とおなかの力を抜いて、肛門と膣を締める。骨盤底筋の動きをもっとも感じやすい姿勢で、家事仕事の最中に台所のシンクやテーブルを使っても行なえる。
(3)座った姿勢で
床につけた足を肩幅に開き、背中をまっすぐに伸ばし、頭を上げて前を見る。肩の力を抜き、おなかが動かないように、またおなかに力が入らないように気をつけながら、ゆっくりと肛門と膣を締める。バスや電車に乗っている時や家でテレビを見ている時にも行なえる。