国立感染症研究所は2017年1月11日、第52週(2016年12月26日~2017年1月1日)のインフルエンザの流行状況を発表した。定点当たりの患者報告数は8.54人となり、前週より0.16人増え、いぜんとして上昇カーブを続けている。
患者数の推計が流行の始まりからついに200万人を突破した。200万人を超えたのは昨シーズンより約1か月早い。10道県で注意報レベルを超えており、厚生労働省でも注意を呼びかけている。
高熱が出て全身が痛む「A香港型」
都道府県別では岐阜県が18.26人と最も多く、秋田県17.54人、茨城県14.31人、福井県12.66人、愛知県12.55人、沖縄県12.21人、埼玉県11.87人、北海道11.42人、群馬県11.26人、福島県11.12人となっており、「注意報」の基準の10人を超えた。以下、香川県9.38人、福岡県9.10人、東京都9.08人、富山県8.96人、岩手県8.95人、神奈川県人8.94人、千葉県8.67人などの順になっている。
この1週間に受診した患者数を推計すると約59万人となり、前週の約51万人より約8万人増加した。年齢別では、20代が最も多く約9万人、40代が約8万人、30代が約7万人、15~19歳と50代がそれぞれ約6万人となっている。また、14歳以下が約14万人、60歳以上が約9万人と、子どもと高齢者が多い。この結果、流行が始まった2016年第36週以降の累積患者数は、推計で約206万人となり、200万人を超えた。
インフルエンザウイルスの検出状況をみると、直近の5週間(2016年第48~52週)ではAH3亜型の検出割合が最も多く、次いでB型、AH1pdm09の順であった。AH3亜型はA香港型(通称香港風邪)とも呼ばれ、38度以上の高熱が急激に出るのが特徴だ。体の節々の痛みや全身の倦怠感と悪寒、頭痛、激しいせきやくしゃみに襲われる。
予防や重症化を防ぐにはワクチン接種が有効とされる。また、厚生労働省では、マスクによる飛沫感染防止、手洗いとうがいの徹底、室内の湿度の保持、人ごみへの外出をさけるなどを呼びかけている。