大阪市が「プログラミング教育推進」プロジェクトの一環で公開した、事業者募集の要項が「炎上」している。
教員への指導をはじめ業務内容が多岐にわたる一方、すべての経費は「事業者負担」。そのうえ、「損害賠償責任」まで負わされるという条件だったためだ。J-CASTニュースは、無償とした理由を大阪市に聞いた。
小中学校での授業や教員研修
大阪市は17年1月12日、「『平成 29 年度 大阪市プログラミング教育推進事業』の実施にかかる協力事業者の募集」と呼ばれる募集要項を公開した。
これは、20年施行の新学習指導要領で「プログラミング」の必修化が検討されていることをうけてのプロジェクト。公募期間は17年1月11日から30日(企画提案書提出期限)まで、実施期間は17年 4月1日から18年3月 31 日までだ。
仕様書を読む限り、事業者に課せられたミッションは「小中学校におけるプログラミング授業づくり」「夏休みや土日等のプログラミング体験の提供」「教材・テキストの貸し出し、教員研修等その他の協力」の3つ。
目的は、小学校向けの指導案を作ったり、プログラミング教育に関心を持つ小学校教員を増やしたりすることだとしている。
一見、何の問題もない要項だが、思わぬ項目があった。なんと、人件費や消耗品費、教材費、交通費を含むすべての経費が「事業者負担」。さらに、事業を実施する物件に対する「損害賠償責任」まで負わせられるというのだ。
「特定の業者との結びつきをなくし、公平性を担保するため」
これが、ネットユーザーの不興を買った。要項の公開後、ツイッターで
「この世の地獄か?」
「応募する意味あるん?」
「すでにおかしい」
と批判が相次ぎ、そうした反応はまとめサイトに素早く転載された。SNSや掲示板サイトには、今なお怒りの声が寄せられている。
なぜ無償なのか。大阪市の担当者は1月13日のJ-CASTニュースの取材に対し、
「事前に数社にこの条件を提示したところ、『無償はいかがなものか』と言われた。ただ、特定の業者との結びつきをなくし、公平性を担保するためにも『無償』という形をとった」
と答え、無償という条件を変えるつもりは「現在のところない」としている。