朝早く起きて仕事前にウオーキングをしたり、仕事帰りに夜道をランニングしたり。強い意志で毎日運動を続ける人がいるが、仕事を持つ大半の人は週末しか運動をする時間がないのが現実だ。
そんな人にうれしい研究が発表された。週末だけの運動でも毎日運動をしている人と同じくらい健康になり、長生きできることが研究により明らかになったのだ。
心臓病とがんの死亡率が同じくらい減る
この研究をまとめたのは豪州シドニー大学のエマニュエル・スタマタスキ准教授らのチームだ。米医師会誌「JAMA内科学」(電子版)の2017年1月9日号に発表された。
論文の要約によると、世界保健機関(WHO)では、ガイドラインで健康のために成人は週当たり150分以上の適度な運動(中強度)を、または75分以上の激しい運動(高強度)を行なうことを推奨している。しかし、毎日どの程度行なえばよいかは示していない。通常は毎日規則的に行なうのがよいとされるが、週末にまとめて運動しても同じように健康効果があるのかはわかっていなかった。
そこで、研究チームは英国の運動と健康に関する調査結果から40歳以上の男女6万3591人(平均年齢59歳)のデータを分析した。対象者には週に何回どんなスポーツを行なっているかアンケート調査した。人々が行なっているスポーツは、ウオーキング、サイクリング、ランニング、サッカー、ラグビー、テニスからガーデニングまで含まれていた。運動の回数や強度によって、対象者を次の4つに分類した。
(1)まったく運動しない人(全体の63%)。
(2)たまに体を動かすが、WHOで推奨される運動には不十分な人(22%)。
(3)推奨される運動を週末に1~2日、まとめて行なう人(4%)。
(4)推奨される運動を週に3日以上、規則的に行なう人(11%)。
平均9年間の調査期間中に様々な病気で8802人が死亡した。そのうち心臓病の死亡者は2780人、がんの死亡者は2526人だった。そうした結果と対象者の運動内容を比較すると、次のことがわかった。
(1)「運動をする」と回答した3グループは、「まったく運動をしない」グループに比べて死亡率が低く健康的だった。特に推奨される運動を行なっている「規則的」グループと「週末」グループの成績が1、2位で、ほぼ同程度に良かった。
(2)全死亡率を「まったく運動しない人」と比較すると、「規則的」は35%、「週末」は30%低かった。しかし、心臓病の死亡率は「週末」と「規則的」はともに41%と同じ割合で低かった。がんの死亡率も「規則的」が21%減、「週末」が18%減とほぼ同じだった。