指紋認証はこんなにあっさり突破できる
指紋窃取の実例はあるのか。日本ではまだ少ないものの、すでに海外では注目を集めている。
2015年、政治家の記者会見で撮影された写真からその政治家の親指の指紋を複製することに成功したドイツ人ハッカーが登場し、世界に衝撃を与えた。
その驚きの手法は、ドイツに拠点を置くハッカー集団「カオス・コンピューター・クラブ」(CCC)が同年10月に開いた年次総会で発表されている。
ハッカーが使ったのは、ドイツのウルズラ・フォン・エア・ライデン国防相の親指を写した写真数枚。3メートルほどの距離から一般的なカメラで撮影したものと、別の機会に違う角度から撮影したものの2パターンあり、いずれも閲覧フリーの商用サイトからセレクトした。
こうして得た写真を、「Verifinger」と呼ばれる一般的な指紋読み取りセンサーにかけると、ライデン国防相の指紋が複製できたのだという。
カオス・コンピューター・クラブは過去にも、iPhone5sの指紋認証センサー「Touch ID」を複製した指紋で突破したと公表するなど、指紋認証の脆弱性を繰り返し指摘してきた。
手袋をはめて写真撮影に臨まなければならない時代が、もうすぐそこまで来ている。